ぐち

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』

その昔、荒俣宏だったかで、ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』をほめていて、その後高山宏が、ニコルソンとかの紹介で観念史をいろいろもてはやしていた頃に、読もうかと思って邦訳を買って取りかかった。 存在の大いなる連鎖 (ちくま学芸文庫 ラ 10-1)作者:…

プーチン論説集の低アクセスにがっかり、それとマクロン

数日前に、プーチンの大統領就任からウクライナ侵略までの各種重要な演説や論説、記者会見の公式記録を集めで訳したものを作って、大統領任期毎に分析もいれたんだけれど、反応がなんか鈍いなと思ったところ、ページのアクセス数が三日ほどで2000件。 ……アク…

サイード『オリエンタリズム』1995年あとがき

訳者注:邦訳は、文庫版も1993年に出ており、この後書きは含まれていない。どっかの雑誌のサイード特集や独自編集の雑文集とかで訳されたことがあるかもしれないが、そこまで調べていない。が、あまりに長いので、これが全文そのまま雑誌などで出る可能性は…

ホール『都市と文明』 III: 創造性完全無視、ITはWIREDコピペ、結論ぐだぐだ。

Executive Summary ピーター・ホール『都市と文明 III』は、突然イノベーションの話をはずれて、インフラの話をはじめる。だがそのインフラがこれまで重視してきた創造性とどう関わるかはまったく触れない。それぞれのインフラの事例として挙がる都市の記述…

クレクレくんの要求と自分の実験を兼ねて、正月にいくつか電子ブック化

あけおめ(死語)。 各種の翻訳の公開がpdfなのが気にくわねえとかいうケチがついて、なんでも若者はepub形式だそうで、pdfなんざ加齢臭で読んでいただけないそうですよ。悪うございましたね。epubは昔、少し検討したんだけれど、確か日本語だと注かルビが処…

スノーデン自伝 訳者ボツ解説

しばらく前、といってもコロナ前だからはるか昔のように思えてしまうけれど、かのエドワード・スノーデンの自伝を訳したのでした。NSAに気がつかれないよう、原文はタイプ原稿コピー、著者名も偽名、これについてネットで絶対話をするなという条件つきで、し…

Ocean Blue, または安定と成長について

YouTubeに逃避をしていたら、なんとOcean Blueが今年新アルバムを出していたと知って驚愕。まだ存在していたのか! 昔のよしみで買って聞きました。 Kings and Queens /..アーティスト:Ocean Blue出版社/メーカー: Korda発売日: 2019/06/28メディア: CD Ocean…

バラード『太陽の帝国』新訳は、当然大きく改善されています……と書きたかったんだけど。

先日ふと、バラード『太陽の帝国』の新訳が出たのを知った。しかも山田和子訳。 太陽の帝国 (創元SF文庫)作者: J・G・バラード,山田和子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログを見る これについては、国書刊行会…

トルコ大統領が不敬にも捨てたという、トランプ大統領閣下のありがたきお手紙を植民地の下等民どもも味わってみたまえ。

もう多くの人が言っていることだけれど、ぼくは最近、フェイクニュースと現実のニュースの区別がつかなくなっていて、冗談ぬきで途方にくれている。このニュースが最初に出てきたときもそうだった。 www.asahi.com この手紙の実物が最初にでまわったとき、ぼ…

脱グーグルを目指してはみたけれど:クラウドコンピューティングとの苦闘

個人的にはネットやコンピュータのセキュリティに関する意識みたいなものは、かなりそのときの気分次第でやたらに変動を繰り返す。 ときには、「いやあ、オレには隠すものなんか何もないよ、グーグルやフェイスブックやはてなやWeChatがどんな検閲かけてNSA…

スマートシティって結局なんなのよ。

ぼくは、こんな何やってるかわからんやつではあるけど、一応都市計画畑の出身ではあって、いまもそういうのを追いかけてはいる(ときどき仕事にもなるし)。で、最近の都市計画がらみで流行というと、スマートシティってやつ。スマートシティ開発します、こ…

岩田規久男副総裁は黒田の尻を蹴飛ばしてリフレを十倍増させるべきだったと思う。

本稿の主張は、表題通り。岩田規久男は副総裁として、リフレの理論にもっともっと忠実に動き、黒田総裁を蹴飛ばしても締め上げても何をしてもいいので金融緩和をますます激化させてほしかったし、それができなかったのは不甲斐ないということだ。リフレ派の…

最後のジェダイ:こう、いろいろキャラや話の育成に手を抜きすぎでは?

最後のジェダイ見てきて…… 最後のジェダイ見てきた〜 事前の評判だとローズ氏ねとかその手の話をいろいろ聞いていた一方で、全体に好評ということだし、しょせん(というとアレだが、しょせんはしょせん)スター・ウォーズだからそんな深いものは期待してい…

うわべ「だけ」ではダメだけど、うわべがなくては始まりません。

2017年12月になって、藤岡『ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ』の書評っぽい記事を書いて、それがネットに出た。 「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム (NextPublishing)作者: 藤岡淳一出版社/メー…

話せばわかるってもんでも……

モンゴルから仁川に飛ぶ飛行機で隣にすわったイギリス人の爺さんと話をしていて、北朝鮮付近を通ったときに当然北朝鮮の話になって、トランプはどうしようもない、という話でそこそこ盛り上がったんだが……そこで爺さん曰く 「トランプは知識もなく見通しもな…

自分の翻訳をめぐるちょっとした愚痴。

翻訳についての人の感想は様々だ。そして翻訳がちょっと面倒なのは、それが訳者だけのオリジナルではないからだ。原文があって、それをもとに翻訳は行われる。ある訳文があって、それがある読者にとっては読みにくいと思えた。それはだれのせいかといえば………

人生の見直し。

大学時代に単位を落とした構造力学、いつか勉強しなおそうと思ってずっと教科書をとってあったけれど、たぶんもうやらないだろうという悲しい認識に到達したよ…… ミシェル・フーコーの「性の歴史」も読まないだろうし、ましてドゥルーズ=ガタリも、そのうち…

え、ifconfig非推奨になったの……

久々に Linux いじってあちこち見てたらこのページ: yuuki.hatenablog.com え、ifconfig ってもう非推奨になったの??!! 知らなんだ。他にもあるのかな。なんか数年遠ざかっているうちにいろいろ変わってるみたいでキャッチアップが大変そうだ……

増田のジェイコブズ翻訳に関する記述が修正された件

2月20日に上げたエントリーで指摘した、増田悦差によるぼくのジェイコブズ翻訳に対するまちがった因縁記事が、修正された。該当する部分は削除され、その旨のコメントも最後についている。 素早い対応、感謝します。 一応、放置しようと思いつつも、このまま…

エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 redux

二年ほど前に、「エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編」というエントリーを書いた。 cruel.hatenablog.com さて、これは実は、もっと長いモノを書いていたんだけれど、それを査読してもらった人に、こんなものを公開してもだれも喜ばないと言われて、ひっこ…

いま訳してる本ときたら……

もう次々に本を訳してまして、いまは意識の生成と心脳問題みたいな話の本をやっているんだが、心脳問題とかの本というのは絶対に面倒くさくならざるを得ない。どうして意識が生じるかを考えようとすると、外部からは意識があるかないかは今のところ漠然と推…

いま訳してる本ときたら……

社会においては協力が大事で、協力と信頼をもとにした社会システムの構築が重要という、それ自体はとってもよい主張の本なんだが…… これを言うために、「これまでは、人間は利己的で私利私欲でしか動かないという人間不信に基づく発想が各種の社会システムの…

いま訳してる本ときたら……

超分厚いアカの専制君主シリーズの最新作を訳し終えて、その次に訳している本はとっても薄くてありがたい。ありがたいんだが…… 行動心理学の教祖様みたいな人の古い本なんだが、面倒くさくてたまらん。行動心理学なので、この人は基本的に心とか内面とか感情…