Thomas Pynchon Inherent Vice結末

Inherent Vice

Inherent Vice



(承前

 その日が来るまで待とう、と彼は思った。そして、そのときは、世界が回復するよう戻ろう、おれの病んだ世界、おれのすばらしい世界、おれの、いやおれたちの祝福された世界は父を求めて泣いた。黄金の牙団はシャスタを通じておれに、かつてのおれなら聞かされると知っていたことを教えてくれた。おれはいつも、それまでに知ったことをすべて、聞き、見て、想い出したいと想っていたんだ。あなたが救世主なのよ、とシャスタがおれに言い、おれは想い出し、知った。おれが救世主なんだ、とシャスタは言った。そう、おれはいつも救世主なんだ。

(完)*1



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山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.

*1:長いことご愛読ありがとうございました! トマス・ピンチョン先生の次回作にご期待ください!