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温暖化対策は排出削減以外にもあるし、そのほうがずっと効果も高い!Smart Solutions to Climate Change: Comparing Costs and Benefits作者: Bjørn Lomborg出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2010/09/09メディア: ペーパーバック購入: 6人 クリック: 351回この商品を含むブログ (1件) を見る

Amazon Rejects 書評

おもしろい! これまでロンボルグのコペンハーゲン・コンセンサスは、世界の多くの問題対応政策(栄養失調対策、貿易自由化、汚職対策、温暖化対策)の費用便益を一流学者パネルの分析に基づいて比較し、ランク付けしてきた。厳密には、その分野の専門家が費用と便益について見積もりを出し、別の学者がツッコミを入れ、それをナンシー「夜の女王」ストーキーやバグワティ、キドランドなどの超一流経済学者たちがチェック採点して順位をつける方式。
 その中で温暖化対策はいつも最下位だったが、あれこれ関心を集めているテーマなので、今回は温暖化対策だけに焦点をしぼっている。でも温暖化対策は(一部の不勉強な人が思っているのとはちがい)炭酸ガス排出削減以外にもいろいろある。今回は、各種の温暖化対策を比較して、何がいいかを見ている。
 炭酸ガス蓄積技術や太陽光を遮る技術の導入、ディーゼル排出や途上国の薪ストーブの改善(この二つは煤を出し、それが太陽熱を吸収して温暖化を促進している)、メタン削減(メタンは炭酸ガスに次ぐ温暖化ガス)、適応技術促進、途上国への技術移転、炭素税(つまり排出削減)が比較検討されているけれど、有望なのは適応対策と炭酸ガス蓄積研究、次いで途上国への技術移転や薪ストーブ&ディーゼル改善。炭素税(排出削減)は死んでもやってはいけないくらいの最悪な手法で、厳しくすればするほどひどさも急増。

 温暖化やばい-->だから排出削減を、という単細胞な(そして有害な)発想を捨てて、対策オプションを総合的に考えてきちんと評価しようとする立派な試み。他にもっと有意義な対策があるのに、なぜぼくたちは排出削減にばかり血道を挙げているのか、よく考えてみよう。結果が気にくわない人は(もちろん)いるだろうけれど、そういう人は独自の評価をしてみるべきだろう。ちなみに本書は、かつてロンボルグをナチ呼ばわりしたIPCCのパチャウリ議長すら賛辞をよせている。



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山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.