ブラックバーン『哲人たちはいかにして色欲と闘ってきたのか』:賢しらな書き散らしエッセイ

哲人たちはいかにして色欲と闘ってきたのか

哲人たちはいかにして色欲と闘ってきたのか

色欲との戦いといったら、

  • 素直にヤる (フェル山、でもこれはあんまり闘ってないけど)
  • 悶々と我慢する/妄想にふける (各種ラノベやポルノ)
  • 女がみだらなのが悪い、と責任転嫁 (カソリックイスラム
  • 昇華する
  • オナニー
  • 去勢 (でも宦官も性欲は残ると言われている)

しかないんじゃないの、と思うが、それが哲学者たちにどう影響したかとか、もっと下世話な本かと思ったら、なんかユーモラスで高踏的なエッセイになろうとして、単に鼻持ちならない賢しらな雑文に堕している本だった。みんな苦労してます、くらいの話でしかないし、そのもってまわった書き方を翻訳がきちんと置き換えられていないのも、全体のすべり具合に貢献。

たぶんいちばんおもしろいのは巻末の岩井志麻子のエッセイ。体を張った下ネタ全開の岩井先生なんだが、この文はそういう自分に至るまでのずいぶん正直な告白になっていてびっくり。ここだけは読む価値あり。



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