上田美和『石橋湛山論』:石橋研究業界内部に向けた本にとどまり、それ以上の広がりはない。

石橋湛山論―言論と行動

石橋湛山論―言論と行動

石橋湛山ってだれだか知らなくて飯田泰之に嘲笑されたところへ、朝日新聞の書評で本があったので読んでみることにした。

分厚い本で、戦前の評論活動と戦後の政治活動のギャップと言われるものについて、それが本当にギャップなのか、という観点での分析。で、結論は戦前の小日本主義も戦後の政治も、経済合理性という視点にもとづいていたので、一貫性はあった、という結論になる。また自立主義を主張していたのに、戦前中国については自立主義を言わなかったのは、後退ではなくて、当時の中国の統治能力への不信があったからプラグマティックな判断をしたのだ、とのこと。で、石橋湛山の思想は孤立していたと思われているけれど、東洋経済の読者層や部数を分析すると、結構広範だし部数ものびてるし、影響力あったんじゃないの、という話。

うーん。石橋湛山に関心がある人にはおもしろいのかもしれない。でもそれ以外の人(含むぼく)には、「そうですか、それで?」という以上の感想がない。石橋湛山研究業界内の人向けで、ぼくが書評すべき or したい本ではなかった。パス。



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