黒井『群れの文化と個の確立』:原子力の研究者なら原子力業界の話でもしてくれよ。凡庸な官僚論なんか書いてないで。

「群れ」の文化と「個」の確立 群れの文化史観序説 (MOKU選書)

「群れ」の文化と「個」の確立 群れの文化史観序説 (MOKU選書)

題名見た瞬間にどんな話するかわかる本。でも、ここまでひねりがないとは予想外。日本の官僚制とか群れの文化で、ヨーロッパは個の確立の文化で、日本も今後は付和雷同の群れの文化から個の確立へ云々。脳科学とか、目新しさのまったくない歴史文化論とか、結局はつまんない結論にほとんど貢献してない。しかも最後はむろん地震原発事故の話なんだけど、驚いたことに著者は原子力関係者で(しかもかなりご立派な地位を歴任)、今回の一件も完全な部外者ヅラしてあれこれ論評できる立場ではないと思うんだが、身内や業界関係者としての切実さ皆無の第三者論評。読む必要なし。むろん書評なんかしません。



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