エッケルト『原子理論の社会史』:ゾンマーフェルト学派の評伝なんだが、ちょっと専門的すぎ。

 19世紀末あたりからの原子理論の研究と発達において、特にドイツではゾンマーフェルトを中心とした人々が、ある学派とも言うべき物を構築して活躍し、それはその後、世界的にもいろんなところに影響を与えているという本なんだが……

 なんかある原子についての思想や理論的なとらえ方に基づく学派ではない。むしろ、人間的、あるいは奨学金や論文紹介やその他で世話になった人的つながりによる学派。だから、ゾンマーフェルトがどこぞに誰を引き合わせ、こっちの就職を世話し、その下で誰と誰が出会い、といった話の連続。ゾンマーフェルトが人望があり、やり手だったことはわかる。でも、それ以上ではないと思うし、それを今の人が知ってどうする、という感じなので、採りあげません。



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