Devil's Rejects: Rob Zombie!! 真面目なオマージュ映画。殺人それ自体が自由の発露だという……

ホワイト・ゾンビの親玉、ロブ・ゾンビの映画。中西部の孤立した町、人々を捉えては虐殺する一家、それが見つかってモーテルに逃走し、そこでまた人々を虐殺し、というとにかく胸の悪くなる映画で、出てくる要素はもう既存ホラー映画の組み合わせでしかなく、したがってジャンル映画のオマージュ&パロディともいうべきものではあるんだけれど、そこで奇をてらおうとせずに自分なりに料理してストレートに再現しているのがすごい。古くさいワイプやストップモーション、ラストの明日に向かって撃て/ボニー&クライド再現とか、殺人鬼たちをものすごく愛情こめて描いてしまっているのは驚き。いや、殺人鬼を怖く描こうとか、幼児体験を使って同情的に描こうとする映画はあるけれど、殺人それ自体を自由の発現として肯定してしまうというのは……ちょっと他に例がないかも。

見た後で本当に胸が悪くなるし、人を嫌な気分にさせようという映画なので覚悟は必要。おすすめすべきかどうかはよくわからないんだが……でも、本当にちゃんと映画になっていてお見事。でも二度と見ない……いやそう言いつつ来年くらいに見ちゃうかも。



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