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『夢と生きる』:自費出版本で、社長のたたき上げ一代記。

朝日新聞書評ボツ本 書評

夢と生きる

夢と生きる

ビルメンテナンス会社の本だというので、一応建築建設系をカバーする人間としては目を通しましょうということで手にした本。呼んでみると、幻冬舎自費出版部門から出ている自費出版本ですねえ。あるビルメンテナンス会社の社長一代記で、焼け跡から腕一本で、ビルの管理、掃除、設備、補修、その他ビルメンテ業にかかわるすべてに自社のビジネスを広げ、総合ビルメンテナンス会社に仕立てました、という話。

ちなみにビルメンテはとても大事です。REITとかでの物件評価も、そのビルのメンテをどこがやっているかで大きく変わります。だって寿命60年のビルだって、メンテの手をぬけばすぐにガタガタで30年ももたなかったりするんだもん。60年稼いでくれるか30年保たないかで、収支は大きく変わってしまう。家を買うときも、管理費ケチってるところは気をつけたほうがいいよー。

それはさておき、すっごい革新的なことやった会社というよりは、地道にがんばってきましたという会社&社長さんで、読んで衝撃を受けたり目からうろこが落ちたりする人はいないだろうけれど、日経「わたしの履歴書」の下手なものよりはましかもしれないくらいにはおもしろい。あと、書いているライターの人が結構熱っぽい書きぶりで、ときどき無駄な力こぶの入れ方がほほえましい感じ。朝日新聞の候補本に入っていたのはなんかのまちがいだろうし、全国紙で大々的に紹介したりここで絶賛したりするような本ではとてもない。わざわざ買って読めというような本でもない。が、なんかの拍子に手に取ることがあれば、ささっと読んでも大損はしない。

(……とか書いて、なんか変な自費出版本が山ほど送りつけられるようになったらどうしよう。普通は読まないからね)



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