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川越『はじめてのゲーム理論』:概説書としてはまあまあ。でも量子ゲーム理論って何のためにあるの?

書評

はじめてのゲーム理論 (ブルーバックス)

はじめてのゲーム理論 (ブルーバックス)

ゲーム理論の入門書で、それなりに簡潔にまとまっている。もちろん流し読みだけではわかったような気になるだけで、ホントはもっと細かく見るべきなんだが、すわってきちんと手を動かすこともできるように練習問題その他もついている。囚人のジレンマの話を延々書くような本ではなく、パレート最適ナッシュ均衡、メカニズムデザイン、不可能性定理と話が進んでいって、羅列に終わらず分野としての発展の軌跡とそこでの悩みという見通しもよいと思う。(そうそう、メカニズムデザインってことで、今年のノーベル賞ともからんでるのか)
ただ、最後にくるのが量子ゲーム理論。最先端だというんだが、そうなのかも。でも、ぼくはこれが現実世界にどんな応用があり得るのかさっぱりわからない。みんなが量子コンピュータを持つようになればこれを使って協力が改善できるというんだが、どうして? 人間がこうした量子もつれにしたがう利得を持ったりするような状況があり得るのか? と考えているうちに、不可能性定理までの見通しのよさが記憶のかなたにいってしまうようで、ちょっと残念。最先端を教えたいという熱意はわかるしありがたいんだが……



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