村上『はじめてナットク 超伝導』:ミス超伝導ねたが寒いが、それ以外は非常によくわかる。ブルーバックスの王道。

うちに転がっていたのを消化で読み始めた。人が浮くのはマイスナー効果ではなくピン留め効果、というあたりをつかみに、実験の写真と理屈の説明をうまくからめながら、結局超伝導というのは何なのか、なぜピン留めが起きるのか、とか、オームの法則から考えて超伝導で抵抗ゼロになったらなんかおかしくならないか、電流無限大になっちゃったりしないのか、という疑問に対しても、非常にわかりやすく解説してくれる。超伝導がそんな量子レベルの話で動いているのだとは、この歳まではっきりとは知りませんでした。

よい本で、いまは絶版らしいのはちょっと惜しいが、最後3割ほどの応用に関する部分が少し古びているので仕方ないかな。江崎玲於奈ノーベル賞取った頃はジョセフソン素子とか華々しかったが最近ではどのくらい使われているのかなあ。本書で日本だけの技術と胸をはっているリニアも、いまは超伝導磁石使っているんだっけ? 上海とか名古屋のやつは確かちがったような……もうちょっと新しいねたをこんどどっかで読もう。あと、研究室内の雰囲気が全般に伝わる書かれかたでいいな。全般に寒いミス超伝導ねた以外は……



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