『ティモシーなんとか』:既訳ひどすぎじゃね?

またまた翻訳のグチ。そろそろシリーズ第一作の改訳版が出るようで(ゲラも戻しました)、第二作目はまあそんなに改めるべきところはなく、さくっと流して訳し終えかけてるんだが、第三作目を見始めてぶち切れ。

なんですの、既訳のあの機械翻訳さながらの金釘訳は。

原文は、西海岸のインテリ宗教がかったネーチャンのしゃべくりで、そのため接続詞をかなり省略してるので、それを補わないと文が全然つながらないんだが、それをまったく無視。なんだかわかりませんわ。

そして、当時の西海岸口語表現壊滅。シリーズ第一作でも単なる感嘆符の Holy shit!! というのが「聖なるクソッタレだ」になっていて意味通らなかったけど、三作目でも「ティムは分速一マイルのスピードでしゃべる」って、それって口語表現で機関銃みたいにしゃべるとか、しゃべりまくるってだけの話なんだけど。

というわけで、一作目はかなり既訳と変わって、二作目はそんなに変化なしだけれど、三作目は既訳とはまったく変わります。だれもこれに文句を言ってないということは、だれもちゃんと読まなかったんだろうと思う。でも、三作目はもっと読まれるべきよい小説(ノンフィクションに分類されてるけど)だと思う。



クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.