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『エンダーのゲーム』:うーんつらいわ。

映画

つらいなあ。ストーリーを追うのに精一杯で、他のことにまで手がまわらなかった感じ。そのストーリーも、頑張って削ったのはわかるんだがそれでもつらい。原作もっとぶちこわして、減らさないと。ベン・キングズリーのメイザーラッカムとかいらない。ハリソンフォードが実はメイザーラッカムだったということにしとこうよ。兄と姉の話も――地球の家族の話すべて――いらない。

もっとエンダーの孤立無援感をきちんと出さないと。ゆっくりそれを醸成する暇がなくて、すぐに仲間ができてしまうので、「だれからも助けは期待できない」という印象がまったくない。最初っから訓練学校で、いじめられて反撃したらすぐに相手が死んでしまって、その罪悪感を抱えつつ、無重力での訓練のところをもっと十分引っ張って戦いの解放感を演出したらよかったんじゃないかなあ。

あと何よりも、ムシへの共感醸成プロセスの厚塗りをがんばってもらわないと、最後「だましたな!」と騒がれても、なんでいきなりエンダー君がムシに共感して虐殺だと騒いでるのか、見てるほうは(原作を知らない人は特に)さっぱりわからないよ。ゲームに隠されたムシのメッセージにもっと速く気がついて、最高軍司令になったらどうする気だったのかを事前に示さないと、だまされたエンダーの絶望と苦悩が全然わかんないと思う。

続編ができて「死者の代弁者」も再刊……と思ったけれど、たぶんそうはなりそうにない。残念。



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