Schrage, "Innovator's Hypothesis": 小さなプロトタイプで何でも試そうってのはわかるんだけど、それだけだと……

The Innovator's Hypothesis: How Cheap Experiments Are Worth More than Good Ideas

The Innovator's Hypothesis: How Cheap Experiments Are Worth More than Good Ideas

うーん。いやね、ビジネスでもなんでも、なんかあらかじめ最初から最後までがっちりビジネスプランとかを作ってその通りにやるんだと融通効かないしリスクも大きいから、ちょっと簡単な実験やってみて、アイデアがうまくいくか試そうぜ、というのが主張なわけ。それはまあ、その通りだと思うよ。

で、著者はそこで、5x5フレームワークなるものを提唱する。アイデアも一つだと何だから、5つくらいのアイデアをもってきて、それぞれ5人チームで、予算5千ドルで、5週間で簡単に実験してみるようにして、その結果をもとにモノになりそうなやつを決めようぜ、という。なんで5にそんなにこだわるの? 別に理由なし。でもまあ小規模で、しかも思いつきレベルでいいけど、気楽に実地テストする、というのが重要。

本書の主張はそんだけ。あとは、真面目な人はそう言われても「いい加減な実験」てのが苦手で立派なビジネスプランを作ってがっちり身動き取れなくなっちゃうよ、とか、臨機応変がいいんだぜ、とかいう話が延々書かれている。うそではないと思う。でも……そんなに目新しい話だろうか?5という数字で、規模や予算やチーム組成に目安をくれる、というのがいいのかもね。ぼくとしては物足りなかった。もっと話がふくらむと思ってたのに、最初の20ページでだいたい話が尽きてあとはその引き延ばしになってしまったのが残念。