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メイソン『海賊のジレンマ』:勢いdrivenな本。その分賞味期限が短い印象。

海賊のジレンマ  ──ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったか

海賊のジレンマ ──ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったか

これまでのお行儀のよい各種の活動の代わりに、新しいパンクな既存の活動におさまらない目新しい活動がいろいろ出ている! 海賊放送とか、リナックスとか、ストリートアートとか、既存のルールを無視した活動がユースカルチャーから出ている!

そういう本。で、いろんなユースカルチャーをルポ的に次々に紹介する。で、そうした動きを潰そうとするのはお互い無駄だし、規制に失敗して足下の市場を食われちゃって自滅するCD業界見ても、もっとうまいやりかたはあるから、これをどう活用するかが今後のポイントだ、と指摘する。

原著が出たのは2008年。書かれたのは少し前か。リミックスとかネットのあれこれとかヒップホップとかDJカルチャーとか、著者がすごく興奮しながら書いている熱気は十分に伝わってくる。リアルタイムで読んだら、「うわあ、すごいかも」と思ったかもしれない。が、2016年の今これを読むと「ああ、あったねえ(遠い目)」みたいなのも結構あって、熱っぽい書きぶりがちょっと鬱陶しい感じさえある。最後に、囚人のジレンマならぬ海賊のジレンマというモデルみたいなものも考えて見るんだが、思いつきの域にとどまり目からうろこではない。

あの時期の事例集としては、未だに価値を持つかもしれない。そして、方向性のとらえ方としては悪くない本だと思う。この本の中でも参照されているタプスコット『ウィキノミクス』とかの事例集みたいな扱いとしては、いまでもあり。読んで損する本ではない。