2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ハンフリー『ソウルダスト』:意識の話はむずかしいわー。

ソウルダスト――〈意識〉という魅惑の幻想作者: ニコラス・ハンフリー,柴田裕之出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2012/04/27メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 195回この商品を含むブログ (10件) を見るうーん、意識やクオリアの話はどうしてもウダウ…

垂水『進化論の何が問題か:ドーキンスとグールドの論争』:グールドに甘すぎると思うし、結局「どっちもえらいんです」でなあなあに丸め込むのはつまらなすぎ。

進化論の何が問題か―ドーキンスとグールドの論争作者: 垂水雄二出版社/メーカー: 八坂書房発売日: 2012/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 313回この商品を含むブログ (6件) を見るドーキンスとグールドは対立することもあったが、どっちも進化論を…

瀝青会『今和次郎「日本の民家」再訪』

今和次郎「日本の民家」再訪作者: 瀝青会,中谷礼仁,石川初,菊地曉,福島加津也,御船達雄,清水重敦,大高隆出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/03/25メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 166回この商品を含むブログ (12件) を見る今和次郎の名著『日本の民家…

黒井『群れの文化と個の確立』:原子力の研究者なら原子力業界の話でもしてくれよ。凡庸な官僚論なんか書いてないで。

「群れ」の文化と「個」の確立 群れの文化史観序説 (MOKU選書)作者: 黒井英雄出版社/メーカー: MOKU出版発売日: 2012/04/16メディア: 単行本 クリック: 71回この商品を含むブログを見る題名見た瞬間にどんな話するかわかる本。でも、ここまでひねりがないと…

ピンチョン『LAヴァ椅子』:散漫。猥雑にならずに散漫。ぼくにはあんまり。

LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)作者: トマスピンチョン,Thomas Pynchon,栩木玲子,佐藤良明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/04/01メディア: 単行本 クリック: 101回この商品を含むブログ (47件) を見るピンチョン全集、これを扱わない…

丸山『深海魚雨太郎の呼び声』:言い訳がましい石川淳みたいでぼくにはあんまり。

深海魚雨太郎の呼び声〈上〉作者: 丸山健二出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/05メディア: 単行本 クリック: 47回この商品を含むブログ (2件) を見るなんか野性的な生命力の権化のような太郎が生まれ落ちて捨てられても、成長しうだうだ、という話では…

高山『黒人コミュニティ』:黒人コミュニティのダメなところを率直に述べたよい本。

黒人コミュニティ、「被差別と憎悪と依存」の現在――シカゴの黒人ファミリーと生きて作者: 高山マミ出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2012/05/09メディア: ?行本-平装購入: 12人 クリック: 965回この商品を含むブログを見る本書に書いたようなことを、社会学…

横山『妖怪手品の時代』:手品でいろいろ妖怪を出す芸の系譜。楽しくてよい本です。

妖怪手品の時代作者: 横山泰子出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2012/04メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 85回この商品を含むブログを見る江戸時代には、くだらないのから手の込んだ物まで、妖怪をいろいろ出して見せるようなお座敷芸や手品がたくさんあ…

橘『(日本人)』:風呂敷は広げたがぼくにはあまり目新しいことはないし性急。

(日本人)作者: 橘玲出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/05/11メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 155回この商品を含むブログ (39件) を見る橘令の日本人論みたいなもんなんだけれど、前半とかはずっと、ピンカーや進化心理学やダイアモンドや、その他あ…

ブラウン『ユーロの崩壊』:ユーロはダメで、それは中央銀行が悪いとのこと。

ユーロの崩壊―ヨーロッパにおける金融失敗からの脱出ルート作者: ブレンダンブラウン,Brendan Brown,田村勝省出版社/メーカー: 一灯舎発売日: 2012/04メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログを見るユーロの失敗と現在の惨状について述べた本。…

新田『アメリカ文学のカルトグラフィ』:あんまり認知地図になってません。

アメリカ文学のカルトグラフィ ――批評による認知地図の試み作者: 新田啓子出版社/メーカー: 研究社発売日: 2012/04/19メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 49回この商品を含むブログを見る批評による認知地図の試み、というんだが、あまり認知地図にはなっ…

大槻『サブカルで食う』:大槻モヨコ殿の一代記。楽しいよ。

サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法作者:大槻 ケンヂ白夜書房Amazon 大槻先生がお書きになった――というより語り下ろした、というべきか――サブカル論というよりは自分の一代記。でもその中で、バンドやりたいとかクリエーターやりた…

篠原『全-生活論』:全体性が重要といいつつ全体性って何かも言えず、<母性>にすり寄る情けない本。

全―生活論: 転形期の公共空間作者:篠原 雅武以文社Amazon うーん、やめてほしいんだよね、この手の哲学的なお遊びに「転形期の公共空間」なんて副題つけるのは。公共スペースデザインの話だと思って読み始めたら、特に目新しい発想が何もない哲学者が、己の…

フランク『時間と宇宙のすべて』:科学的な時間のとらえ方と一般的な時間のとらえかたを並行させたがうまく融合していない。

時間と宇宙のすべて作者:アダム・フランク,Adam Frank早川書房Amazon Time, Space, and Everything にかけた題名かと思ったら、原題は About Time なんだね。 さて、時間のすべてを書こうという本で、開けると冒頭3ページ目に「ビッグバン理論は死にかけてい…

山内『ウィルスと地球生命』:おもしろいネタ豊富、まとまりもよく、もう少し書き込んでくれれば文句なし。

ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー)作者:山内 一也岩波書店Amazon ウィルスというものが、みんなの思っているよりずっと多才な役割を果たしているという本。進化にも役立ち、作物の品種改良にも貢献、二酸化炭素固定にも一役買って、人間の胎児も守…

川上他『ヒトはなぜほほえむのか』:まとまりが悪すぎる。次回はもっとがんばれ。

ヒトはなぜほほえむのか―進化と発達にさぐる微笑の起源作者:清文, 川上,文人, 川上,清子, 高井新曜社Amazon ヒトはなぜほほえむのか、という本だけれど、ヒトがなぜほほえむのかは、結局仮説としても軽く紹介されるだけ。特に、著者たちが研究対象としている…