2013-01-01から1年間の記事一覧

佐倉『「便利」は人を不幸にする』:くだらないラッダイト抑圧反文明論。ドラエモンすら読み損ねている。

「便利」は人を不幸にする (新潮選書)作者: 佐倉統出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/05/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る題名を見た瞬間にどんな本かわかると思う。便利すぎるのはよくないんだって。生活に不便を取り戻さなくてはな…

芸術における「完成」など

横尾忠則全ポスター作者:横尾 忠則国書刊行会Amazon 任期の切れた朝日新聞の書評委員だけれど、役得といえば本がたくさんもらえて読めることとお弁当に加えて、えらい委員たちの雑談が聞ける、というのがあった。 で、ある日、横尾忠則がたいへん憤っていた…

禁煙促進にはデブを魅力的にせよ!

Weight watchers (The Economist 2013/4/13号 p.69) 2002年にニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグは「完全に好きにさせてもらえるなら、タバコ税を思いっきりあげて、そこからの税収がゼロになるくらいにするんですがね」と述べた。この戦闘的な市長は…

男の魅力とは??

Abs-olutely fabulous (The Economist 2013/4/13号 p.76-77)女だって異性への期待は、男と同じくらい非現実的なのだ。男たちは昔から、女の求めているのはずばり何なのか悩んできた。中には「割れた腹筋」を約束するメンズ健康雑誌に導きを求める者たちもい…

Scienceの早野活動記事コメント:ホントいろんな人がいるなあ。

昨日訳した早野龍五活動に関する記事の本国版に、コメントがついている。http://comments.sciencemag.org/content/10.1126/science.340.6133.678一つはぼくのもので、昨日の訳者コメントとほぼ同内容。でももう一つは、まあ例によって例のごとしの代物。Naoy…

実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる

デニス・ノーミル(Dennis Normile)原文:Insistence on Gathering Real Data Confirms Low Radiation Exposures (Science 10 May 2013: Vol. 340 no. 6133 pp. 678-679)(翻訳 山形浩生) 東京: 2011年3月、福島第 1 原子力発電所での惨事が展開する中で…

Voice 2013年6月号:コラムがちょっとおもしろい。

Voice (ボイス) 2013年 06月号 [雑誌]発売日: 2013/05/10メディア: 雑誌Voice は、ありがたい雑誌ではあって、この10年くらいにわたり、曲がりなりにもリフレ派の主張をずっと掲載し続けてくれた。ほかの媒体だと、何か他のネタでこじつけてリフレネタに持っ…

『Journalism (ジャーナリズム)』2013年5月号:日本ジャーナリズムの経済報道に関する無能ぶりを恥じることなくむきだしにした、情けない(だが現状理解には有用な)一号。

Journalism 5月号 2013出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/05/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るこんな雑誌があることも知らなかったんだが、朝日新聞が『ジャーナリズム』という雑誌を出している。先日あるイベントにでかけたら…

『中央公論』2013年5月号:まったく無内容なリフレ批判のオンパレード

中央公論 2013年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/04/10メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る中央公論という雑誌は、もうここ数年、ほとんど見る影もない状態になっている。昔、コラムや書評を一瞬だけ担当させてもらっ…

なんか別にアルカイダと関連づける必要ないかも。

昨日、ボストンマラソン爆弾犯が Inspire 見てたかも、という記事を見てあれこれ憶測したけれど、今日その Inspire の当該記事をきちんと読みなおしてみて、いささか困惑。確かに圧力鍋への言及はあるけれど、正直いって大して詳しくないんだよね。問題の記…

ボストンマラソンのテロ:Inspired by Inspire?

ボストンマラソンテロ、自分の知っていてしょっちゅう歩いていた場所がテロに遭うと、さすがに心が揺さぶられるほどショック。その後続報で、どうも犯人はアルカイダのネット雑誌を参考に爆弾を作ったらしいとのこと。アルカイダのネット雑誌というと、これ…

青木昌彦講演会で考えたことなど

比較制度分析に向けて作者: 青木昌彦,滝沢弘和,谷口和弘出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2003/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 11回この商品を含むブログ (20件) を見る 1. はじめに 先日、安田洋祐フェイスブック投稿で、青木昌彦講演会があるとい…

CSSのうまいまとめ方

CSSがまだよくわかっていないのでアレなんだが、現在、「経済思想の歴史」の訳で、オリジナルのかなりめちゃくちゃな html を、xhtml1.1 にきちんと対応しようとしてるんだが……やりたいことは簡単で、タイトル(h1) の部分をバナー状にして、そこに画像も表示…

グリック『インフォメーション』:意味を求める人間と、自走する情報のちょっと悲しい別れ

インフォメーション―情報技術の人類史作者: ジェイムズグリック,James Gleick,楡井浩一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (24件) を見る 人は常に情報に支配されてきた。遺伝子に刻まれ…

鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと

なめらかな社会とその敵作者:鈴木 健発売日: 2013/01/28メディア: 単行本 未来のための社会像? 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。そこからすれば評者は未開の土人だ。しかしその未開人にも、謙虚な筆致に隠れた著者の熱意と意気込…

鈴木『なめらかな社会とその敵』&ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みや前提を明らかにする野心的な試み…… but you ain't see nuthin' yet.

なめらかな社会とその敵作者: 鈴木健出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/01/28メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 299回この商品を含むブログ (47件) を見るルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)作者: ジョセフ・ヒース,瀧澤弘…

ブッシュ『as we may think』

コンピュータの古典文献シリーズ。名前は何度も聴いたことがあったが、実物を読んだことはなかったので、見つけたついでに訳してみました。ハイパーテキストの概念を最初期に提案した文章として有名。ものすごくアナログで古くさい部分(トランジスタもテー…

フレクスナー『役立たずな知識の有用性』

チューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来作者: ジョージ・ダイソン,吉田三知世出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/02/22メディア: 単行本 クリック: 161回この商品を含むブログ (20件) を見るコンピュータの基礎を作った高等研究…

カヴァン『アサイラム・ピース』:感傷的ながらドライさをもたらす、囚人と看守の共犯関係とその諦念。

アサイラム・ピース作者: アンナ・カヴァン,山田和子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2013/01/22メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 410回この商品を含むブログ (30件) を見るアンナ・カヴァンの作品は、しばしばカフカ的だと評される。抽象的で正体不…

マラテール『生命起源論の科学哲学』:すばらしい。創発批判本!

生命起源論の科学哲学―― 創発か、還元的説明か作者: クリストフ・マラテール,佐藤直樹出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/01/19メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 1,476回この商品を含むブログ (7件) を見る生命の起源をめぐる各種議論についての本…

竹下『イスラームを知る四つの扉』:いいことしか書いてない。

イスラームを知る四つの扉作者: 竹下政孝出版社/メーカー: ぷねうま舎発売日: 2013/01メディア: 単行本 クリック: 48回この商品を含むブログ (2件) を見るイスラム教についての一般向け解説書。イスラムはすばらしい、普遍的で、開かれていて解釈も自由で、…

祝:「経済思想の歴史」オリジナルサイト復活!

昔、New School of Social Study にあった「経済思想の歴史」オリジナルサイトが復活した。すばらしい!かなり充実したサイトで、経済学の名士録と各種経済思想/学派の紹介、加えて重要な思想の展開と、きわめてバランスの取れた記述。いまはウィキペディア…

数年前のできごとなど。

数年前に、確かあれは何かアート系の宴会だったと思うんだが、顔を出したことがある。ぼくはあまり有名ではないし、あまり知った顔もいなかったんだけれど、まあ何人かとちょろちょろ立ち話をするうちに、ぼくより少し若そうな――そうだな、五つくらい若かっ…

吉川『デフレーション』:混乱した本だし、10年以上前の小野山形論争蒸し返し。

デフレーション: “日本の慢性病”の全貌を解明する作者:吉川 洋日経BPマーケティング(日本経済新聞出版Amazon朝日新聞書評委員が任期終了、最後っ屁でいまぼくがやるとしたらリフレ政策翼賛をやらずにどうするってことで、吉川洋『デフレ』なんてどうかな、と…

長谷川『縮む世界でどう生き延びるか?』:お気楽な成長否定の社会ダーウィニズム。ふざけんな。

縮む世界でどう生き延びるか? (メディアファクトリー新書)作者:長谷川英祐発売日: 2013/02/28メディア: 新書生物は、個体数が増えるときもあれば、減るときもある。それぞれの時点で、そのときに応じたバランスがあって、みんな常に「適応」している。だから…

ガリレオ『望遠鏡で見た星空の大発見』:「星界の報告」新訳。神をも畏れぬ邪説を唱えたトンデモ本。発禁にすべき。

望遠鏡で見た星空の大発見 (やまねこブックレット)作者: ガリレオガリレイ,板倉聖宣出版社/メーカー: 仮説社発売日: 2013/01/04メディア: 単行本購入: 16人 クリック: 566回この商品を含むブログ (27件) を見る望遠鏡で見ると、星空はずいぶんちがって見える…

佐々木『仏教は宇宙をどう見たか』:おもしろいが、まあ仏教の中の話なので。

仏教は宇宙をどう見たか―アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN選書)作者: 佐々木閑出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2013/02メディア: 単行本 クリック: 73回この商品を含むブログ (3件) を見る仏教は色即是空で現実は存在せずすべては心の働きなんだという…

ミッチェル『クラウド・アトラス』:中編六本たばねたら長編になると思ってまちがえた失敗作。

クラウド・アトラス 上作者:デイヴィッド・ミッチェル河出書房新社Amazonエドガー・アラン・ポーだかコルタサルだかの短編小説作法というのがあって、それはつまり、ポイントは一つ、ということ。ある主題やある場面、それだけがあって、それをいかにもり立…

拾った。

... no, I don't (necessarily) have YOU in mind. But its the things that I UNNECESSARILY do that always get me in trouble.

B.F.Skinner『Particulars of My Life/Making of a Behaviourist/A Matter of Concequences』:長すぎ。単調。それでもおもしろいのはさすが。

Particulars of My Life作者: B. F. Skinner出版社/メーカー: Jonathan Cape Ltd発売日: 1976/09/23メディア: ハードカバー クリック: 44回この商品を含むブログ (1件) を見る行動心理学の親玉スキナーの自伝。三巻本。なげーよ、先生。しかも語り口がきわめ…