書評

Amazon救済 2010年分 1: 毛沢東関連書など

蕭瑜『毛沢東の青春』:若き日の毛沢東の数少ないまとまった第三者の記述, 2010/6/10 モシャー他『地球温暖化スキャンダル』:元データすら必死で隠蔽する「気候科学」って? クライメートゲート事件の全貌を描く好著, 2010/6/2 小田実『毛沢東』:日本の左…

Amazon救済 2009年分 2

モンゴル秘史:読みやすさなら岩波文庫よりこちら。, 2010/1/26 元朝秘史: 東洋文庫の訳とくらべると、文語が混じった古い訳となっている。, 2010/1/26 橘木&山森『貧困を救うのは……』:対立点がない談笑に終始して間延びし、訴求力がない。, 2009/11/20 『…

Amazon救済 2009年分 1

Brooks『Zombie Survival Guide』: ゾンビ軍団と闘うには? おふざけ本だが中身はかなり包括的, 2009/9/29 Wilson『How to survive a Robot Uprising』ロボット軍団との戦い方マニュアル, 2009/9/29 Schaecher『Outhouses by Famous Architects』有名建築家…

アマゾン救済 2008年分 3

ウォズニアック『アップルを創った男』:あまりエピソードがなく、また怪物の怪物たる所以についての洞察が皆無で残念。, 2008/12/29 サッセン『グローバルシティ』:日本のバブル永続を想定した古い本。すでに理論は完全に破綻、今更翻訳する意義はあったの…

Amazon救済 2008年分 3

原著から第三部を完全改竄した不誠実な本。, 2008/11/26 え、プラナリアの実験もちがうの?!!, 2008/11/14 貧乏なつもりのお金持ちによるオリエンタリズム充満載のイタい旅行記。, 2008/11/10 「読む」という行為が脳に与える影響を描き、文明変革まで見通…

アマゾン救済: 2008年分 2

堅実な科学技術評価に基づく悲観的な人類の未来。だが翻訳は残念。, 2008/9/30 支離滅裂。, 2008/9/10 温暖化の経済学の権威による、バランスのとれた温暖化対策のすすめ。, 2008/8/9 科学者の自己陶酔した自伝がうざったく、タイムマシンもかなりの大風呂敷…

アマゾン救済 2008年分 1

ジェイコブズの晩節を汚す信じがたい駄本, 2008/6/27 非常識なのはこの本であって社会学ではないと思う。, 2008/6/25 マニアでなければ手を出す必要なし。, 2008/6/23 オルガスムスにとどまらないセックスのあれこれ, 2008/4/28 メーカー&利用者インタビュ…

アマゾンレビュー救済: 2005年 2

アントニオーニ『ある女の……』: 昔はいいと思ったのに。 関『ニッポンのモノづくり学』: こんな企業があるのか! 日本産業の活力を見直す、元気の出る本。, 2005/9/29 『ピングー1』: 懐かしいが、なぜか音声が変わっている。 2005/10/28 三浦『下流社会』: …

Amazon救済 2003年以前分

「スキージャンプペア2」: 1がよかっただけに失望, 2005/7/28 岩井「会社はだれのものか」: 通俗サヨクお題目に堕して歴史の教訓を早くも忘れ去った悲しき迷著, 2005/7/24 大平「プラネタリウム」: あぜーん。何でもすぐ作ってしまうナントカと紙一重な人の…

マイクル・コーニイの気恥ずかしさ

その昔、1980年代末かな、『SFの本』という雑誌に、福本直美という非常に優秀な評論家が「マイクル・コニイはお小説様の作家である」とかなんとかいう題名の、実に鋭い評論を書いていて、ぼくはそれを読んで、マイクル・コニイってあまりソリがあいそうにな…

ピケティ『格差と再分配』読んだ!本文読んだぜコノヤロー!

格差と再分配:20世紀フランスの資本作者: トマ・ピケティ,Thomas Piketty,山本知子,山田美明,岩澤雅利,相川千尋出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/09/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る この本、出ると知って、でもだれが読むんだろ…

Frankfurt, <i>On Truth</i>: やっぱウンコというのが入ってるのがまずいってことなんだろうか。

拙訳で邦訳された『ウンコな議論』の続編とも言うべき本が出ていて、諸般の事情でやっと最近読みました。で、アマゾンにレビューを書いたら……掲載できないって。何もまずいことは書いてないと思うんだけど、察するにレビューを判定するAIが、「ウンコ」に…

フエンテス『テラ・ノストラ』:英訳で読んだときと感想は同じ。力作だけど(それ故に)アナクロ。

http://honto.jp/netstore/search_10%E3%83%86%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9.html?srchf=1honto.jp なんと、カルロス・フエンテス『テラ・ノストラ』の日本語訳が出てしまった! 出る出る詐欺にはひっかかるまいと思って英訳版を…

マクファーレン『イギリスと日本』:これまた産業革命の説明で、人口と疫病撃退のせいだというんだが……

イギリスと日本―マルサスの罠から近代への跳躍作者: アランマクファーレン,船曳建夫,工藤正子,北川文美,山下淑美出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2001/06/25メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (5件) を見る 産業革命はなぜ起きたか――ひい…

Schrage, "Innovator's Hypothesis": 小さなプロトタイプで何でも試そうってのはわかるんだけど、それだけだと……

The Innovator's Hypothesis: How Cheap Experiments Are Worth More than Good Ideas作者: Michael Schrage出版社/メーカー: The MIT Press発売日: 2014/09/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る うーん。いやね、ビジネスでもなんでも、なんか…

反知性主義3 Part 2: 内田編『日本の反知性主義』:白井聡の文は、無内容な同義反復。他の文は主に形ばかりのおつきあい。

はい、まだ反知性主義の話は続きます。第3部を前編と後編にわけるなんて、最近の無内容を引きのばそうとする『トワイライト』とか『ホビット』『ハリポタ』『ハンガーゲーム』みたいでいやなんだけどさ、お金とるわけじゃないし、どうせ読む側もあんまり長い…

反知性主義3 Part 1: 内田編『日本の反知性主義』は編者のオレ様節が痛々しく浮いた、よじれた本。

しばらく間が空いた。で、反知性主義についての簡単なお勉強を経て、ぼくが手に取ったのは『日本の反知性主義』だった。 この本の題名は、明らかに『アメリカの反知性主義』を意識しているようだ。その一方で、この面子を見ると、ぼくが冒頭に挙げた『現代思…

反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著

はじめに 反知性主義をめぐる本を3冊読んだので、その話をちょっと書こう。なぜそんなものを読もうと思ったかというと、『現代思想』の「反知性主義特集」に対するアマゾンのレビューがぼくのツイッターでちょっと話題になっていたからだ。 「彼らは反知性主…

マンデヴィル『蜂の寓話』:ケインズがいかにイヤミなやつかよくわかる。

蜂の寓話―私悪すなわち公益 (叢書・ウニベルシタス)作者: バーナード・マンデヴィル,泉谷治出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 1985/06メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る マンデヴィル『蜂の寓話』というのは、知ってい…

トロツキー『ロシア革命史』:同時代の人にだけ向けて書かれたアジ

ロシア革命史 全5冊セット (岩波文庫)作者: トロツキー,藤井一行出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/07メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 『トロツキー』訳すときに参考書として引用チェックなどに使うので買ったけれど、通読したことはなかった…

水野『イメージの地層』:美術史と信仰形態の関係を見た本なんだが……

イメージの地層 -ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言-作者: 水野千依出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2011/09/23メディア: 単行本 クリック: 26回この商品を含むブログ (10件) を見るうっひー、先日採りあげた『叡智の建築家』と同じく…

シェンチンガー『アニリン』:有機化学がイノベーションとハイテクの最前線だった時代

アニリン―科学小説 (1971年) (コスモス・ブックス)作者: K.シェンチンガー,藤田五郎出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 1971メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見るアニリンと言ってなんだかすぐにわかる人は、有機化学関係者以外あんまりいない…

桑木野『叡智の建築家』:記憶術が生み出した建築による世界記述と創造

叡智の建築家―記憶のロクスとしての16‐17世紀の庭園、劇場、都市作者: 桑木野幸司出版社/メーカー: 中央公論美術出版発売日: 2014/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るおもしろかった。いやあ、分厚い本を見ると「きみ、それはワタクシへの…

小田嶋『友だちリクエストのなんとか』:恥ずかしいだけの本

友だちリクエストの返事が来ない午後作者: 小田嶋隆出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2015/04/28メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る小田嶋隆は、かつて別冊宝島なんかでもよく書いてたことからもわかる通り、ちょっとひね…

田嶋『高学歴貧困女子が読み解くピケティ』:意外や意外、ベスト級の解説書。色物に非ず!

高学歴貧困女子が読み解くピケティ (SAKURA・MOOK 2)出版社/メーカー: 笠倉出版社発売日: 2015/05/08メディア: ムックこの商品を含むブログ (2件) を見る見た瞬間、まあろくでもない色物だと思うのは人情でしょう。高学歴貧困女子がこんな問題抱えているとい…

『コミックでわかるピケティ入門』:入門書の中で一、二を争う要領を得ない本。監修の藤田康範はまともに目を通したのか?

コミックでわかるピケティ入門作者: 藤田康範,梅屋敷ミタ,村上裕一出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版発売日: 2015/05/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る前にも述べた通り、ぼくはいま、マンガによるピケティ入門書の監修をしているので…

永浜『図解ピケティの「21世紀の資本」』:変なところもあるが内容がきちんと咀嚼されており悪い本ではない。

図解 ピケティの「21世紀の資本」 (イースト新書Q)作者: 永濱利廣出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2015/05/10メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る決して悪い本ではない。ただ、ピケティの解説書からは結構はずれる部分もある。一応、…

安田監修『図解ピケティ入門』:日本の格差についての詳しい記述は、各種解説書の中ではダントツ。グラフの解説も親切。

図解 ピケティ入門 いちばんやさしい『21世紀の資本』の読み方作者: 安田洋?出版社/メーカー: 彩図社発売日: 2015/04/24メディア: 大型本この商品を含むブログ (3件) を見る各種の解説本の中で、まず他よりも大きな判型なのが特長。これで何がよいかというと…

超図解入門なんとかピケティ:あまりにどれもこれも同じだあ。

見るだけでわかるピケティ超図解――『21世紀の資本』完全マスター作者: 神樹兵輔・21世紀ビジョンの会出版社/メーカー: フォレスト出版発売日: 2015/03/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るオール図解!ピケティが教えてく…

西村『ピケティ『21世紀の資本』の衝撃』:「1分間ピケティ」よりましだが、やはりレベル低い。

ピケティ『21世紀の資本』の衝撃 ?世界一やさしく解説する「いまの世界経済」の大問題作者: 西村克己出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2015/04/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る『1分間ピケティ』と同じ著者の本。似た内容をあっちにも売…