Thomas Pynchon Against the Day あらすじ 7

Against the Day

Against the Day


承前


さてイェール大のキットくん、実はこの大学が学問の場ではなく、ましてヴェクトルに隠された秘密の世界探求とも無縁であることを知る。マックスウェルの場の方程式に隠された秘密の不可視波動(これはヘルツよりずっと以前に、ギッブスの弟子だった木村俊吉*1が発見した)など、まともな研究は純粋に個人レベルで、実際にはこの大学が単にイェール卒の学閥量産装置でしかないことを悟るが、ギッブスの元で勉強を続けるうちに、父の死の知らせを受け取る。

で、テスラが二度目の電力送信実験をしようとしているとかで、それを阻止しようとするヴァイブ社の陰謀の話が少し出たところで、キットは英米では三次元以上のベクトル空間の議論が無意味とされていることを知る一方で、ドイツのゲッチンゲンに招かれる。そこではヒルベルト博士とミンコウスキーが無限次元ベクトル空間や連続次元時空間についてあれこれ研究しているとか。大喜びのキットくん、ウクレレをかきならして「ゲッチンゲンのラグタイム」を歌う。道中、まずかつて助手を務めたテスラのもとに赴き、発明家とはなんたるかについて一席ぶたれてからニューヨークで船にのりこむとき、資本家ヴァイブに会う。ヴァイブは実はこのアナキスト一家全員を殺すか堕落させようとしているのだった。


ところでダリアはニューヨークに到着し、役者志望でウェイトレスとして働くケイティと出会って同居、二人でチャイナタウンの演し物に出ることになる。拉致される白人娘という設定のこの演し物が評判になりかけるがもめごとにもつながり、頼っていった先で出会ったのが、母と駆け落ちした魔術師ゾンビーニ。彼女はそこで母と再会。実はダリアはメルレの娘ではなかったことがあかされる。

で、話はアメリカ中西部に戻り、フランクとリーフ兄弟の話が数十ページ続くが基本的にウダウダしているだけで何も起こらない。フランクはメキシコにでかけて向こうのアナキストと話をしたりするうちに、父の仇の一人と撃ち合いをして殺す。


さてInconvenience 号はニューヨークに停泊中。酒場でひとしきり騒いだあと、キャンドルブロウ大学へ。この大学はあらゆる食用油の代用となるスメグモの発明で設けた人が創設したもので、第一回時間旅行国際会議なども開催している。で、何のかんので時間の川についての話があったりで、結局Inconvenience 号はテスラの次の実験にあわせて中央アジアのブカラに向かえとの指令を受けるのだった。

(第二章終わり!)



(つづく)



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山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.

*1:よくこんなもんを調べたと思うが、後になってちゃんと出てくるんだろうなあ、このネタは。