Thomas Pynchon Against the Day あらすじ 8

Against the Day

Against the Day

なんかもはやだれも読んでいないだろうが半分近くまできたのでどんどん続けよう。それにしてもトマス・ピンチョンはほとんどいやがらせでこういうのを書いているとしか思えん。

第3章 Bilocations

Inconvenience 号の一行、中央アジアにやってきました。そこで一同は潜水艦ならぬ潜砂艦サクソール号に乗り込み、砂の中にあるシャンバラ目指して進むのでした。なんでもシャンバラは存在して人もたくさんいるが、マニ教の都市で光が崇拝されて、闇に属するおせっくすのたぐいはやらずに光の力で再生産するのしないのという場所だとかなんとか。一同、窓からの眺めを楽しみつつ砂の中を進み、何カ所かで寄航すると馬みたいに巨大な砂蚤がいて、13世紀頃からだんだん巨大化して知性を持つようになりいまや血を吸う前にウイグル語方言でちゃんと許可を取るようになってるんだって*1。でもChums of Chance一同は乗船前に、アメリカの石油探索連中から石油関連の情報があったらお礼ははずむと言われていてサクソール号の金庫を狙おうとして見つかったりして、地上に送り返される。

そして Inconvenience 号に乗って上空を飛行し始めると、サクソール号が待ち伏せにあって撃沈されたという。Inconvenience 号の一行がうっかりサクソール号の進路予定を持ってきてしまったのが原因。サクソール号に乗船していた、へディンの遺髪をつぐ探検家ガスパローは生き延びてロンドンに戻り、伝説の刑事サンズを探す。ガスパローの話では地表の遺跡はもはや砂まみれだが地中のシャンバラは力場の泡のようなもので完璧に守られているんだって。


さて娘をニューヨークに送り出したメルレも馬で少し東部にあるアイオワに赴く。そこで学者先生による、時間が丸い地球上で起こる以上時間も丸く円環状なのだというお説とか、時間が一方向に見えるのはそれを計る時計の物理的制約のせいであり、それが重力に影響されるから時間が直線的に感じられるのだが、ブレゲが腕時計のムーブメントの中核部分が重力の影響を受けないようにするために開発したトゥールビヨン機構を応用すれば第四の次元が登場して云々、さらにドイツからミンコウスキーが講義をしにきたり。


そしてフランクが故郷に戻ってうろうろするうちに、ウェッブ殺しの残党デュースはウェッブの娘レイクと逃げ回り、ウェッブ殺しの罪悪感にかられて罪滅ぼしにレイクと子供を設けようと考える(が、夫が父親殺し犯なのをとっくに知っていたレイクは一笑に付す)

(つづく)



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山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.

*1:うっうっうっ、ホントにそう書いてあるんですう(涙)