中町綾子『なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか?』

なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか? (メディアファクトリー新書)

なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか? (メディアファクトリー新書)

テレビドラマにおける、現実にはないけどいろいろお約束な設定がある。それをあれこれ羅列したもの。豪雨の中で怒鳴りあう恋人たちとか、めがねを取ると美人になるさえないヒロインとか、職場のお局様とか、学園モノの不良先生とか、水戸黄門以来の身なりは卑しいが実はすごくえらい人とか。著者はそれが、日本人が真摯にテレビドラマと向き合ってきたからだ、とかわけのわからないことを言うんだけど、その手のお約束はアメリカのドラマにだってガーナのドラマにだってある。人々がそれを受け入れるのは、多少は時代背景もあるけど、その分析は特に大したものじゃない。扱うドラマの幅も実に狭いし、分析もゆるい(というよりないも同然)。この程度で大学教授がつとまるのか、というほうがオドロキ。ま、いろんなパターンを出されて「あ、あるある!」と思って読み捨てる本。



クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.