ジョブス伝。うーん、ひたすらやなやつ、

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

どうしようかなあ、これ。冒頭に、かれが養子だったことを持ってきて、というのは「次善のエピソードからはじめろ」というベスターの指導通りで、引き込み効果は抜群ながら、その後のジョブズはひたすらわがままで身勝手で傲慢で他人の手柄も平気で自分のものにして女の子はらませてもほっぽって、まあろくでもないやつ。

ウォズニアックの伝記でもそうだが、技術系の人の業績はその製品のすごさがほぼすべてで、人間的な興味はごくわずか、せいぜいがその開発プロセスみたいなところにしかないんだけど、ジャーナリストは人間ドラマを中心にしようとして、技術的な話が書き込めないので焦点がぼけると思う。このジョブス伝でもそのきらいはあって、アップルIIのすごさとか、初代マックのよさとかもっと説明しないと、と思うんだが……まあそれはぼくの指向のせいもあるか。でも、著者が淡々と書こうとしているせいもあるんだが、どこへ行って何をしても、同じパターンがひたすら繰り返されて、上巻半ばですでに飽きてきた。さて、どうまとめたもんか。

で、前半でアップルIIもLisaもNeXTもピクサーもカバーしちゃって、しかも生みの親との対面劇まで入れてしまってるんだが、後半はiなんとか系だけになるのかな? それだけで人間ドラマ中心の話が保つのか、お手並み拝見。



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