- 作者: ジョン・A.キール,植松靖夫
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1984/03
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むかーしから本棚にあって、オレはいつかこれを読むのかねえ、と自分でも半信半疑だったが、ふとこんなもんに不動産を占拠させておいてはいけないなと思って読んで見ましたー!
……倒れそうになりましたよ。モスマンプロフェシーだから、モスマン (蛾人間)が出てきていろいろ予言するんだと思ってたのに。予言しないじゃん! お話さえしないのか! ちなみに、モスマンさんって、こんな方だと言われております。(この本に出てくる、モスマンの目撃例が多発した町が記念に立てた像だって。すげー)
で、本書は著者が、このモスマンの目撃談を中心として、いろんなUFO系の話についていろいろな目撃者の話なんかを、おどろおどろしく思わせぶりにたくさん並べたもの。どこかに行ったら自分がだれかにまちがえられたとか、MIBがうろついてたとか、なんか変なまちがい電話がかかってきたとか、そんな話とUFOや未確認生物の話を次から次へと並べて、いやあこんな変な目撃談がいろいろあって、しかもそれを隠蔽しようとするのは、UFOが本物で政府がそれを隠すための陰謀を講じているのだ! という印象を醸し出そうとするんだけど、それでおしまい。
そういや思い出した。一応ぼくは Fortean Times の読者なので、まあこれは基本教養だろうとは思って、買って読む気になったんだが、うーむ。もう最後のほうは、一ページ3秒の速読。最後の数ページの思わせぶりと大仰さはすごいんだけど、ごめん、この歳になるとちょっとむりー。中学生か高校生くらいなら「おおおおおっっ!!」とか言いながらむさぼり読んだかもしれないんだけど。
なお、訳者解説は、訳者が完全に冗談で書いてるのか、あるいはかんぜんにイッちゃったビリーバーなのか判断がつかないほどノリノリという意味ではとてもすばらしいでき。
近代科学を成立させていた支柱は、非ユークリッド幾何学・相対性理論・量子力学の登場と同時に崩壊し、一義決定論的世界観は疾うの昔に斥けられてしまった。さらに言うならば、古典物理学を中心に展開した近代科学に対して、現代はトゥールミンの言う「脱近代科学 (postmodern science)」(即ち精神分析学・生態学・量子力学など)の時代であり、もはや実証主義的科学史観は成立しないのである。
おおおおおおおっっ!!! そうでありましたかぁっ!! 量子力学は実証しなくていいんだって! そうか、だから検証不能なM理論が全盛なんですね! だからエコロジストは変な思い込みだけの連中が多いんですね!
……いやこんなもんに本棚のスペースを与えていたとは。
山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.