finalvent『考える生き方』:Not for me. 装丁はちょっと変わってるので本屋で手に取るくらいは。

考える生き方

考える生き方

いま届いた。2分で読み終わった。一目おいていないわけではないが、もったいのつけかたが好きではないブロガーfinalventが……己の平凡な人生をとつとつと変な諦念をこめて語る一冊。

他人の、特に華やかではなくそれなりに挫折やトラブルはあるにしても、まあ普通の人生。どうでもいいや。知らない人の、特に変わったものでもない結婚や子供や仕事の話をきいてもなあ。後半の、彼のお勉強作法のような部分やいろんな知識をどうやって身につけたか、という話は、人によっては興味があるかもしれない。が、若者への生き方に関するお説教(しかもあまり腰のすわらない、お説教なんていやあそんな柄じゃありませんよ、と謙遜しつつもまさにその謙遜することで他人がもっとヨイショしてくれるのを期待しているようなものほしげなお説教)は、だれが読みたがるのやら。

だれが何を求めてこの本を読むと思ったのかまったくわからない本と言うしかない。マーケティング不明で、その一方で読者をまったく無視した得体の知れない発狂本(いい意味で)でもない。歳寄りがよく、自費出版でだれも読まない自伝とか警世の書を出したりするが、まさにそんな感触。むろん、ぼくが知らないだけで、アルファブロガーにあこがれる人もいるのかもしれず、その教えを求める人もいるのかもしれないけれど。No thanks, not for me. 彼はもちろんぼくなんかのために書いたわけではないが。

装丁は、表紙/カバーでいきなり本文がはじまって、見返しにも本文がなだれこんでそのまま続く。扉とか目次とかは、その後でやっと出てくる。ブロガーとして文字の人であることを表現しようとしたのか、ちょっとおもしろいかも。でも、書評委員会では最初、まだ見本刷りなのかと思った。ちゃんとした本という感じがしないのは、目新しいけど裏目に出るように思う。

でも全体として、1400円の本ではないと思う。電子本にして500円くらいで売るくらいがいいところではと思う。



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