
- 作者: フィリップ・K・ディック,大滝啓裕
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1991/01
- メディア: 文庫
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大滝訳って、ヴァリスでもそうだけど、普通の英語をまともに訳せてないんだなあ。ヴァリスでも、ヒッピーまがいの登場人物が「holy fuck!」とか感嘆符で言うのを「聖なるくそったれだ」と訳して意味不明にしていたし、聖なる侵入でも「choose A over B」というのを「B の頂点にいる A という説を選んだ」と訳してるけど、単に「BよりAを選んだ」というだけ。
ヴァリス系の作品だとそんなの重要ではない、あのなにやらもったいぶった神学談義がだいじなんだ、という人は必ず出るんだけど、実は上のchoose A over Bというのも、「I chose God over the material universe」で、大滝はそれを「物質宇宙の頂点に神がいるという説を選んだ」とやっているんだよね。大滝の神学談義も、こういう変な誤訳に基づく誤解がかなり混じってる懸念はかなりあるんじゃないか。その部分を引いても、そもそもあの神学談義にまじめにつきあうべきだとは思わないけれど。

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