話せばわかるってもんでも……

モンゴルから仁川に飛ぶ飛行機で隣にすわったイギリス人の爺さんと話をしていて、北朝鮮付近を通ったときに当然北朝鮮の話になって、トランプはどうしようもない、という話でそこそこ盛り上がったんだが……そこで爺さん曰く

「トランプは知識もなく見通しもないくせに戦争ばかりしたがっている! (そういう面はあるよねえ)事態を本当に改善したいなら、どうすればいいかわかるかね!(うーん、日本みたいに「遺憾の意」とか言ってるだけじゃダメだろうけど……) トランプがいますぐ電話機を取って、金正恩に電話すればいいんだ! そして『来週平壌に行くぞ! おまえが何をしてほしいか、腹をわって話し合おう!』といって相手の求めることをやれば、すべては解決するはずだ!」

 ぼくは何と言っていいかわかりませんでした。この人、イギリスでかなり立派なメディアの記者兼ライターをやっていて、モンゴルの大学でも教えたりしてるというんだが、こんな小学生みたいなことを真顔で言う人がいるんだなあ。

 早い話が、そういう外交的なこととか、豆満江開発とかの経済協力とか、太陽政策とか、いろいろやってきた挙げ句にいまがあるわけで、トランプはツイッターで悪口言ってもそんなやること変わってるわけじゃないし、現状をトランプのせいにするわけにはいかないだろうし……

 が、ぼくも真面目にここで議論できるほど知ってるわけではないし、飛行機の中でそんな激論して居心地悪くなるのもいやだし、「うーん、まあそう簡単にいくかどうか……」とあいまいに応えたら、

「いや、トランプ相手なら金正恩もすぐに会う用意があるはずだ!まちがいなく実現する!」

と力説された。いや、ぼくがむずかしいと思うのは、その部分じゃないんです、と言うのもアレだったので、話をトランプ当選時に開票速報見てて情勢が目の前で雪崩をうって激変するのに驚いた、という方向に持っていったことです。


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.