お嬢さんは中東の石油相の遺産をもらえるそうです。

まったくどうでもいい話だけれど、近くのカフェで御禁制品のファーウェイMatebook Xでかっこよく仕事をこなしていたところ、隣でそこそこ妙齢の女子が二人ダベっている。その一人曰く:

「なんか変な英語のメールがきたのよー、中東からでぇ、なんか億万長者の遺産があるので、その遺族を探して口座から遺産を出すのを手伝ってくれって」

おー、最近また少し増えてきたよねー、その手のメール、と思いつつ聞いていると、相手方は「なんかあやしーよねー、どうしてそんなの来たの-」とお返事。

最初の女子は「そーなのよー、なんか変でしょー、そんな話あり得ないよねー、その遺産の人の名前とか聞いたことないし、あたしその人と関係ないしー」、と非常にまっとうな疑念を表明していて、あー、ネットリテラシー教育も少しは浸透しているのねー、と感心して聞いていた。そのまま彼女は、いろいろ怪しいところを並べて、いちいちごもっとも。相手も「そうだよねー、絶対変だよー」と相づち。

ところがそこで、この女子がいきなり爆弾発言。

「でもさあ、一応返事しようと思うのよー」

えー、どうしてですか、いままでそれがインチキであることを的確に指摘なされていた聡明なお嬢さんがなぜ? と思っていたら、相方ももちろん「えー、どうしてー」と同じ返事。すると彼女答えていわく、

だって、この人、あたしをわざわざ探し出して、メールをくれたわけじゃない? 他の人なら、こんな英語メールがきても読めないけど、あたしがちゃんと英語読めることまで知ってて、しかもアドレスも知ってるわけでしょう。あたしのこと、ちゃんと調べて何か知ってるのよ。だからちょっと、どうしてあたしのこと知ってるのか、一応きいてみようと思うの-」

……うーむ。なんか、英語のメールが読めるというのがプライドのツボで、そこがこのお嬢さんの秘孔だったのねー。ネットリテラシーも、小さなプライドには勝てなかったか!

相方は「そうかなあ、適当にやってるんじゃないの?」と常識的な突っ込みをしていたけれど、お嬢さんの腹はもう決まっているようで、「でも一応確認くらいはしておきたいしー」だそうです。

人がこう、露骨にだまされる現場というのを見ると、人間の底なしの愚かさに感動することしきりでございます。ちなみにその後、このお嬢さんが実際にどうしたのかは不明。口座登録料くらい10万円くらいだまし取られて、痛い授業料ですむだろうとは思うんだろうけどねー。しかしこれでは、ナンパも宗教団体の勧誘も、なんかガバガバのような気がするんですけど。

ちなみにこれをお読みのみなさん、そういうの全部インチキですから。アフリカの口座に元資源大臣の遺産があるとか、美しい未亡人が秘密の関係を求めて一発百万払いますとか、知り合いが身ぐるみはがれて、その代理でメールを送っていてすぐに30万を送金しろとか、全部ウソですから。念のため。