ケインズを語るクルーグマン@Youtube


Paul Krugman - Keynes' General Theory of Employment, Interes


プリンストン大学ポール・クルーグマンです。ケインズについて、いやケインズの序文を書くというので、ぼくは文字通り欣喜雀躍でした。ぼく自身もケインズが現代世界にもたらしたようなものを、ちょっとでももたらそうとしてはきたと思うんです*1。それは知的にも革新的で、世界をもっとよい方向に変えようとした経済学なんですが、でももちろん、だれもケインズのようにはなれないし、どんな本も『一般理論』のようにはなれません。これは西洋文明をほとんど崩壊させかけた問題を、(ためらい)解決した本です。それは一流の経済学者の道具を総動員しつつ、何が重要かについてのセンス、そして物事を考え抜く方法論の面で、真に過激になるのを恐れない意欲を組み合わせたものです。実に驚異的な本で、しかも驚くほど価値を失っていません。70年たった今もこれを読んで『あ、この問題ってあれか』と思うし、人々がケインズでまちがっていたと思ったことの一部は、いまや再びまったく筋の通った話となっています。だからこの本は、いちばん――たぶんぼくに言わせればアダム・スミスよりも――経済学の歴史上で最も重要な本だと思うんです。

*1:訳注:ここ、自分の書いた序文に限定した話と解釈もできるが、はっきりしない。

金本位制廃止を喜ぶケインズ@Youtube


発言内容

過去10年においては、実にしばしば、私は悪い未来を予言しなくてはなりませんでした。しかし今日、私たちから大きな重荷が取り除かれました。大きな緊張が緩和されたのです。為替レートが下がりすぎる危険はありません。生活の費用が深刻に上昇する危険もありません。予想される最悪のことといえば、二年ほど前の物価に戻ることくらいです。でもその一方で、イギリスの貿易はすさまじい刺激を得たことになります。その規模は他の人が認識しているよりもずっと大きなものです。我が国の事業者や製造業者、そして失業者たちが、再び希望を味わえるというのはすばらしいことです。そして彼らは、誰かに再び黄金の檻に押し込められるのを許してはなりません。彼らは、これまでずっと、その中で心を痛めてきたのですから。

コメント

実に見事なイギリス英語。グレアム・チャップマンに是非ともパロって欲しいところ。(……って、当然過去形にしなくてはならないんだが、そんな気分になれない……)



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