ナオミ・ウルフ (博士) の……凋落なのか元からそうだったのか……

2021年6月に、ナオミ・ウルフのツイッターアカウントが停止をくらった。 いやー、ついにそこまできてしまったかという感じではある。もともと、軽薄なフェミニスト論者ではあって、『美の陰謀』とか、美しさの規範を押しつけることで女性は貶められていると…

Wear "Solved!” 査読

Solved!: How other countries have cracked the world's biggest problems and we can too作者:Wear, AndrewBlack Inc.Amazon Andrew Wear Solved! How other countries have cracked the world’s biggest problems and we can too (2020, Black) 査読 2020…

M. Mazzucato, Mission Economy: A Moonshot Guide to Changing Capitalism 査読

2020年10月に依頼された、マリアナ・マッツカートの新著の査読。冒頭のコロナでの話とかでもわかるとおり、いまにして思えば (半年しかたっていないのに!) ずいぶん拙速で妥当性のない話になっているように思う。ベトナムなどは社会封鎖は成功したけれど、…

ハーマン・カーン『紀元2000年』の技術予想はそんなに悪いか?

紀元二〇〇〇年 三十三年後の世界作者:ハーマン・カーン,アンソニー・ウィーナー発売日: 1968/05/01メディア: 単行本 先日訳したクルーグマンの未来予測記事では、ハーマン・カーン『紀元2000年』がボケ役に使われていた。全然当たっていない、といって。 cr…

フィッシャー・ブラック『ノイズ』とファイナンスの教え

いま訳している分厚い本がもう、話があっちとびコッチ飛びして、結局どこに行こうとしているのか、そもそも何の本なのかもときどきわからなくなっきて、いまは一生懸命『マヌ法典』なんか読んでおりますが、うーん。 分厚いから本当なら集中して片づけたいん…

クルーグマンのはずれた「未来予測」

ちょうどリドレー『人妻とイノベーション』を読んでいるところで、なかなかおもしろい。 人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する作者:マット・リドレー発売日: 2021/03/05メディア: 単行本 これについては、またきちんと書く機会もあるだ…

ラジオトークの存在意義などについて

なんかこんど、ラジオのレギュラーコメンテーターやることになったのよ。 www.joqr.co.jp サイトには出ていないけれど、ツイッターに出たからすでに解禁なんだと思う。番組全体が少し時間が遅れて長くなるとのこと。そしてその情報によると、山形は火曜の7:4…

クルーグマン「ミレニアムを解き放つ」:この道はいつか来た道

先日、「資本主義の行き詰まりがあちこちで見られる中で新たな経済思想は〜」みたいな話をきかれて、ぼくはちょっと言葉に詰まった。というのも、資本主義がそんなに行き詰まっているとはぼくは思っていないから、なのだ。 それで、ちょっと以前読んで気にな…

コンドルセ『人間精神進歩史』なかなかおもろい。

ピケティの新著、翻訳鋭意進めております。その中で古い本がたくさん引用されてて、中にあったのが、コンドルセ。 人間精神進歩史 第1部 (岩波文庫 青 702-2)作者:コンドルセ発売日: 1951/03/05メディア: 文庫 引用ヶ所の邦訳ページを調べなくてはならないの…

トマス・ペイン『土地をめぐる公正』Agrarian Justice 元祖ベーシックインカム!

トマス・ペインのAgrarian Justice、よく題名の直訳で、「農民の正義」とか紹介されているので、農地改革のすすめかなんかだろうと思って読みはじめたら、ぜんぜんちがいました。 なんと1795年の段階で、ベーシックインカムの必要性を実に明解に訴えた先駆的…

ケインズ『説得論集』全訳終わった。(そういえば昨日はバレンタインデー)

いろいろ忙しくなってきたので、例によってケインズ『説得論集』の全訳をあげてしまいました。1931年の原著すべてプラスアルファになっております。 J.M.ケインズ『説得論集』pdf 1.3MB https://genpaku.org/keynes/essaysinpersuasion/JMKessaysinPersuasio…

シュレーダー/石岡瑛子『MISHIMA』に見る、石岡瑛子の弱点:すべてを見せないと気が済まない!

こないだ石岡瑛子展にいってきて、大正解だったというのは前に書いたとおり。何やら終わり近くは連日満員だそうで、ご愁傷様です。 cruel.hatenablog.com さて、そこでも書いたことだけれど、その中であのMISHIMAの金閣寺が、ちょっと浮いていて空回りしてい…

スターリン=ウェルズ対談:当時の論争

以前、H・G・ウェルズによるスターリンのインタビューの翻訳を載せたら、それなりに好評を博した。 cruel.hatenablog.com その後、ちょっとまた別の興味でケインズ全集を見ていたら、なんとこのインタビューへの言及があって、ケインズがこれにコメントをよ…

ケインズ全集28巻「社会政治文学論集」

先日、ケインズの「芸術と国家」という文章を訳した。 cruel.hatenablog.com そのとき、これがケインズ全集に入っているかどうかいちいち確かめたりしなかったんだが、別のことを調べていたら、出ているのがわかった。 社会・政治・文学論集 (ケインズ全集)…

再びピケティ奴隷募集!

Exectuive Summary ピケティ新著のサポートサイト用に、図表の加工を外注したい。報酬は出たときに訳書をあげるだけ。以下の仕様を見てわかるヤツだけ応募しなさい。 はじめに 高齢な方々の中には、はるか昔にトマ・ピケティ『21世紀の資本』とかいう本がな…

ケインズ『人物評伝』全訳おわった。

epub版ケインズ『人物評伝』表紙。 年明けてからケインズ『人物評伝』を訳し始めて、月の内になんとか終わりました。 ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝』pdf 2.7MB ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝』epub 1.4MB epubは、pandocで機械的に変換…

やさぐれるスタンリー・ジェヴォンズ

ケインズの人物評伝の訳は続いていて、マルサスが終わってスタンリー・ジェヴォンズになっている。 マルサスはかなり温厚でまともな人だったらしいけれど(まあ牧師さんだから)、それでも結構面倒な人ではあったみたい。同時代の人の証言によると、 「だが…

ケインズ『人物評伝』の政治家パート/科学者パート

1933年のケインズ。 急に忙しくなったので、余計なことに手を出し始めて、ケインズ『人物評伝』の訳をこの連休に始めた。政治家、経済学者、科学者のパートがある中で、政治家の部分が終わったので、まあご覧あれ。 ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝…

ebook版もっと追加。ソローとサイモン & 富岡日記

ロバート・ソローの「内生的成長理論死ね」本と、サイモンの合理性本、epub化した。 ロバート・ソロー『アロー『やってみて学習』から学習:経済成長に とっての教訓』epub版 (右クリックでダウンロード) ハーバート・サイモン『人間活動における理性』epub版…

ピケティ『21世紀の資本』: r>g は格差の必要 or 十分条件か?

21世紀の資本作者:トマ・ピケティ発売日: 2015/04/27メディア: Kindle版 新年仕事始め前の小ネタ。ツイッターでこんなのみかけたのよ。 このツイ主は、浅田論文を読んでおくことでどういう知見を得るべきなのか、ここで採りあげているネット番組の問題提起に…

クレクレくんの要求と自分の実験を兼ねて、正月にいくつか電子ブック化

あけおめ(死語)。 各種の翻訳の公開がpdfなのが気にくわねえとかいうケチがついて、なんでも若者はepub形式だそうで、pdfなんざ加齢臭で読んでいただけないそうですよ。悪うございましたね。epubは昔、少し検討したんだけれど、確か日本語だと注かルビが処…

お年玉にしてはショボいが:アダム・スミス『国富論』8章まで (その後9章まで)

その昔、1999年にプロジェクト杉田玄白をたちあげたときに手をつけたはじめた、アダム・スミス『国富論』、4章くらいまでやってその後ほとんど進んでいなかったが、この4日ほど気晴らしでがーっとやって、8章まで終わった。これで第一巻の半分くらいになる。…

まあXmasプレゼントみたいなもので、ケインズ「芸術と国家」(1938) 翻訳。

今年はろくな年ではなかったし、来年もどうなるやらという感じだが、まあそれでも欲しいやつにはクリスマスプレゼントみたいなものでもあげようか。耶蘇じゃないけど。都市景観保全系の論集にケインズが寄稿していたのを見つけたもので。 全集のどれかの巻に…

コロナなんかどうでもいいから石岡瑛子展に行きなさい。

Executive Summary この展覧会を前にしてどうでもよくないと思う人は、豚に真珠もいいとこだから観に行かないほうがいいよ。 はじめに 先日、無料券をもらったので石岡瑛子展にでかけてきたのです。 www.mot-art-museum.jp ぼくは石岡瑛子は昔からとても好き…

フロイト『夢判断』:フロイトの過大評価をはっきりわからせてくれる見事な新訳

新訳 夢判断 (新潮モダン・クラシックス)作者:フロイト発売日: 2019/10/04メディア: Kindle版 古典をきちんと読まなければ、みたいな強迫観念は、昔は強かったけれど、いまはあまり残っていない。が、フロイトは高校時代に岸田秀に入れ込んだこともあり、ま…

ケインズ『平和の経済的帰結』:アメリカ版とイギリス版

しばらく前に、ケインズ『平和の経済的帰結』(1920) とその続編 (1922) を翻訳した。 cruel.hatenablog.com cruel.hatenablog.com で、後者をやっていたときに、実はこの二冊とも、イギリス版とアメリカ版が微妙にちがっていることに気がついた。イギリス版…

スターリン閣下はお怒りのようです:インタビューの読み方説明

付記:なんか多くの人が、これを2020年10月の学術会議がらみの一件に対する批評的な意図を持ったものだと読んでいるようなんだが、ぼくは実はまるでそんなことを考えていたわけではないのだよ。ホント、たまたま出てきただけなのよ。が、もちろんそういう解…

偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。

最近さまざまなメディアにおける人民諸君の発言を見るにつけ、であるな、多くの者が堕落し、あるべき革命精神を忘れ、軽視し、捨て去っているように見えるのだよ。特にへっぽこリベラルえせ知識人どもよ。そうした反革命分子どもにも、更正の機会を与えてや…

ノーベル経済学賞2020 トトカルチョ

最近、ニコ動のノーベル経済学賞予想がなくなってしまって、真面目なトトカルチョをしなくなったのであれだが、FBで聞かれたのでちょっと考えて見た。 が、どうだろう。まずノーベル賞そのものは、科学系以外のものはどんどんおかしくなってきていると思う。…

ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』アンチョコ

はじめに 数日前に、サイモン『人間活動における理性』の海賊訳を公開したら結構みんな喜んでくれて幸甚。 cruel.hatenablog.com が、これを実際に読んでくれた人でも、結構苦労しているらしい。 note.com でてくる用語として、馴染みのないものが結構ある、…