ぐち

スタニスワフ・レム『SFと未来学』3章:構造主義分析は役に立たないというだけ

はじめに 第3章の概要 あらすじ:第3章 文学的創造の構造 はじめに:経験と文化 3.1 SFの生成構造 3.2 世界構造と作品構造 I 3.3 世界構造と作品構造 II 3.4 SFの構造的分類基準 レムの相変わらずひどい書きぶり 禁欲的な価値観の押しつけ 何のための「構造…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』2.2章:未来学と競う偏狭なSF論

はじめに 1. 「認識論」と、本書の大きな前提 2. 「空想的なものの認識論」あらすじ 序論 1. 世界への視線 2. 創造理論の導入 3. 未来学のパラダイム 4. 未来学の無力 5. まちがっていても意義ある予測 6. システムに依存する倫理 7. 幻影装置=VR 8. フィリ…

オールディス『ヘリコニアの冬』訳者あとがき

ヘリコニア地図 しばらく前からやっていた『ヘリコニアの冬』のAI支援翻訳が終わった。 ブライアン・オールディス『ヘリコニアの冬』 (pdf, 4.1MB) 何度か書いているけれど、かなりがっかりしたと言わざるを得ないね。それも含めて、訳者あとがきをつけまし…

スタニスワフ・レム『SFと未来学』2.1章:SFジャンルの定義……分類のための分類

はじめに 2.1 空想的なものの比較存在論 感想 分類そのものが大事? 追記 はじめに スタニスワフ・レム『SFと未来学』のドイツ語からの重訳を進めている話はした。 cruel.hatenablog.com で、本をスキャン屋に出すことにしたんだけれど、それまでにもう1/3章…

R.A.ラファティ『アーキペラゴ』とチャンドラー『長いお別れ』とっくに終わってるんだが

万が一興味ある人がいれば: R.A.ラファティ『アーキペラゴ+α』山形浩生訳 レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』山形浩生訳 ラファティは一ヶ月以上前に終わっているがだれも読んでいないねえ。チャンドラーも半月前に終わっているけど、読んでくれたのは…

チャンドラー『長いお別れ』と翻訳方針

昨日、チャンドラー『長いお別れ』の翻訳2章までやったが、その後ちゃらちゃらと終わったよ。 レイモンド・チャンドラー『The Long Goodbye』山形浩生訳 ぼくがこれに手をつけた事情については、ここからの一連のツイートを見てほしい。 マルタの鷹を読んだ…

頭を抱えた翻訳:映画『オイコノミア』

今日、『翻訳者の全技術』にからんでトークショーをやった。 翻訳者の全技術 (星海社 e-SHINSHO)作者:山形浩生講談社Amazon その中で、アレだと思った本の翻訳はどうする、みたいな質問があって、いろいろ答えたんだが、そこで出そうかと思っていたけれど時…

ベスター『ローグとデミ:はちゃメタ♡恋のだましあいっ!』訳了。邦題変えてやったぜ激おこプンプン丸

オッケー、やりかけベスター終わったぜ。 cruel.hatenablog.com 終わったんだが…… ワタクシいま、なんとも言えない喪失感と怒りの混在するワナワナ感にうちふるえておりますわよ、まったくちょっとアルフレッドくん、これ一体何ですのん? というわけで、中…

カルペンティエール『春の祭典』:文化と革命共存という妄想を異様に図式的に描く残念な作品

はじめに そこそこ長いこと棚に並んでいた、カルペンティエールも片づける時期にきた。で、読んだのが晩年の大作『春の祭典』だった。 春の祭典作者:アレホ・カルペンティエール,Carpentier, Alejo,孝敦, 柳原国書刊行会Amazon が、正直、後味の悪い作品だっ…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』

その昔、荒俣宏だったかで、ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』をほめていて、その後高山宏が、ニコルソンとかの紹介で観念史をいろいろもてはやしていた頃に、読もうかと思って邦訳を買って取りかかった。 存在の大いなる連鎖 (ちくま学芸文庫 ラ 10-1)作者:…

プーチン論説集の低アクセスにがっかり、それとマクロン/サルコジ

数日前に、プーチンの大統領就任からウクライナ侵略までの各種重要な演説や論説、記者会見の公式記録を集めで訳したものを作って、大統領任期毎に分析もいれたんだけれど、反応がなんか鈍いなと思ったところ、ページのアクセス数が三日ほどで2000件。 ……アク…

サイード『オリエンタリズム』1995年あとがき

訳者注:邦訳は、文庫版も1993年に出ており、この後書きは含まれていない。どっかの雑誌のサイード特集や独自編集の雑文集とかで訳されたことがあるかもしれないが、そこまで調べていない。が、あまりに長いので、これが全文そのまま雑誌などで出る可能性は…

ホール『都市と文明』 III: 創造性完全無視、ITはWIREDコピペ、結論ぐだぐだ。

Executive Summary ピーター・ホール『都市と文明 III』は、突然イノベーションの話をはずれて、インフラの話をはじめる。だがそのインフラがこれまで重視してきた創造性とどう関わるかはまったく触れない。それぞれのインフラの事例として挙がる都市の記述…

クレクレくんの要求と自分の実験を兼ねて、正月にいくつか電子ブック化

あけおめ(死語)。 各種の翻訳の公開がpdfなのが気にくわねえとかいうケチがついて、なんでも若者はepub形式だそうで、pdfなんざ加齢臭で読んでいただけないそうですよ。悪うございましたね。epubは昔、少し検討したんだけれど、確か日本語だと注かルビが処…

スノーデン自伝 訳者ボツ解説

しばらく前、といってもコロナ前だからはるか昔のように思えてしまうけれど、かのエドワード・スノーデンの自伝を訳したのでした。NSAに気がつかれないよう、原文はタイプ原稿コピー、著者名も偽名、これについてネットで絶対話をするなという条件つきで、し…

Ocean Blue, または安定と成長について

YouTubeに逃避をしていたら、なんとOcean Blueが今年新アルバムを出していたと知って驚愕。まだ存在していたのか! 昔のよしみで買って聞きました。 Kings and Queens /..アーティスト:Ocean Blue出版社/メーカー: Korda発売日: 2019/06/28メディア: CD Ocean…

バラード『太陽の帝国』新訳は、当然大きく改善されています……と書きたかったんだけど。

先日ふと、バラード『太陽の帝国』の新訳が出たのを知った。しかも山田和子訳。 太陽の帝国 (創元SF文庫)作者: J・G・バラード,山田和子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログを見る これについては、国書刊行会…

トルコ大統領が不敬にも捨てたという、トランプ大統領閣下のありがたきお手紙を植民地の下等民どもも味わってみたまえ。

もう多くの人が言っていることだけれど、ぼくは最近、フェイクニュースと現実のニュースの区別がつかなくなっていて、冗談ぬきで途方にくれている。このニュースが最初に出てきたときもそうだった。 www.asahi.com この手紙の実物が最初にでまわったとき、ぼ…

脱グーグルを目指してはみたけれど:クラウドコンピューティングとの苦闘

個人的にはネットやコンピュータのセキュリティに関する意識みたいなものは、かなりそのときの気分次第でやたらに変動を繰り返す。 ときには、「いやあ、オレには隠すものなんか何もないよ、グーグルやフェイスブックやはてなやWeChatがどんな検閲かけてNSA…

スマートシティって結局なんなのよ。

ぼくは、こんな何やってるかわからんやつではあるけど、一応都市計画畑の出身ではあって、いまもそういうのを追いかけてはいる(ときどき仕事にもなるし)。で、最近の都市計画がらみで流行というと、スマートシティってやつ。スマートシティ開発します、こ…

岩田規久男副総裁は黒田の尻を蹴飛ばしてリフレを十倍増させるべきだったと思う。

本稿の主張は、表題通り。岩田規久男は副総裁として、リフレの理論にもっともっと忠実に動き、黒田総裁を蹴飛ばしても締め上げても何をしてもいいので金融緩和をますます激化させてほしかったし、それができなかったのは不甲斐ないということだ。リフレ派の…

最後のジェダイ:こう、いろいろキャラや話の育成に手を抜きすぎでは?

最後のジェダイ見てきて…… 最後のジェダイ見てきた〜 事前の評判だとローズ氏ねとかその手の話をいろいろ聞いていた一方で、全体に好評ということだし、しょせん(というとアレだが、しょせんはしょせん)スター・ウォーズだからそんな深いものは期待してい…

うわべ「だけ」ではダメだけど、うわべがなくては始まりません。

2017年12月になって、藤岡『ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ』の書評っぽい記事を書いて、それがネットに出た。 「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム (NextPublishing)作者: 藤岡淳一出版社/メー…

話せばわかるってもんでも……

モンゴルから仁川に飛ぶ飛行機で隣にすわったイギリス人の爺さんと話をしていて、北朝鮮付近を通ったときに当然北朝鮮の話になって、トランプはどうしようもない、という話でそこそこ盛り上がったんだが……そこで爺さん曰く 「トランプは知識もなく見通しもな…

自分の翻訳をめぐるちょっとした愚痴。

翻訳についての人の感想は様々だ。そして翻訳がちょっと面倒なのは、それが訳者だけのオリジナルではないからだ。原文があって、それをもとに翻訳は行われる。ある訳文があって、それがある読者にとっては読みにくいと思えた。それはだれのせいかといえば………

人生の見直し。

大学時代に単位を落とした構造力学、いつか勉強しなおそうと思ってずっと教科書をとってあったけれど、たぶんもうやらないだろうという悲しい認識に到達したよ…… ミシェル・フーコーの「性の歴史」も読まないだろうし、ましてドゥルーズ=ガタリも、そのうち…

え、ifconfig非推奨になったの……

久々に Linux いじってあちこち見てたらこのページ: yuuki.hatenablog.com え、ifconfig ってもう非推奨になったの??!! 知らなんだ。他にもあるのかな。なんか数年遠ざかっているうちにいろいろ変わってるみたいでキャッチアップが大変そうだ……

増田のジェイコブズ翻訳に関する記述が修正された件

2月20日に上げたエントリーで指摘した、増田悦差によるぼくのジェイコブズ翻訳に対するまちがった因縁記事が、修正された。該当する部分は削除され、その旨のコメントも最後についている。 素早い対応、感謝します。 一応、放置しようと思いつつも、このまま…

エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 redux

二年ほど前に、「エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編」というエントリーを書いた。 cruel.hatenablog.com さて、これは実は、もっと長いモノを書いていたんだけれど、それを査読してもらった人に、こんなものを公開してもだれも喜ばないと言われて、ひっこ…

いま訳してる本ときたら……

もう次々に本を訳してまして、いまは意識の生成と心脳問題みたいな話の本をやっているんだが、心脳問題とかの本というのは絶対に面倒くさくならざるを得ない。どうして意識が生じるかを考えようとすると、外部からは意識があるかないかは今のところ漠然と推…