お勉強

ハーマン・カーン『紀元2000年』の技術予想はそんなに悪いか?

紀元二〇〇〇年 三十三年後の世界作者:ハーマン・カーン,アンソニー・ウィーナー発売日: 1968/05/01メディア: 単行本 先日訳したクルーグマンの未来予測記事では、ハーマン・カーン『紀元2000年』がボケ役に使われていた。全然当たっていない、といって。 cr…

クルーグマンのはずれた「未来予測」

ちょうどリドレー『人妻とイノベーション』を読んでいるところで、なかなかおもしろい。 人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する作者:マット・リドレー発売日: 2021/03/05メディア: 単行本 これについては、またきちんと書く機会もあるだ…

クルーグマン「ミレニアムを解き放つ」:この道はいつか来た道

先日、「資本主義の行き詰まりがあちこちで見られる中で新たな経済思想は〜」みたいな話をきかれて、ぼくはちょっと言葉に詰まった。というのも、資本主義がそんなに行き詰まっているとはぼくは思っていないから、なのだ。 それで、ちょっと以前読んで気にな…

コンドルセ『人間精神進歩史』なかなかおもろい。

ピケティの新著、翻訳鋭意進めております。その中で古い本がたくさん引用されてて、中にあったのが、コンドルセ。 人間精神進歩史 第1部 (岩波文庫 青 702-2)作者:コンドルセ発売日: 1951/03/05メディア: 文庫 引用ヶ所の邦訳ページを調べなくてはならないの…

ケインズ『説得論集』全訳終わった。(そういえば昨日はバレンタインデー)

いろいろ忙しくなってきたので、例によってケインズ『説得論集』の全訳をあげてしまいました。1931年の原著すべてプラスアルファになっております。 J.M.ケインズ『説得論集』pdf 1.3MB https://genpaku.org/keynes/essaysinpersuasion/JMKessaysinPersuasio…

ケインズ全集28巻「社会政治文学論集」

先日、ケインズの「芸術と国家」という文章を訳した。 cruel.hatenablog.com そのとき、これがケインズ全集に入っているかどうかいちいち確かめたりしなかったんだが、別のことを調べていたら、出ているのがわかった。 社会・政治・文学論集 (ケインズ全集)…

ケインズ『人物評伝』全訳おわった。

epub版ケインズ『人物評伝』表紙。 年明けてからケインズ『人物評伝』を訳し始めて、月の内になんとか終わりました。 ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝』pdf 2.7MB ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝』epub 1.4MB epubは、pandocで機械的に変換…

ケインズ『人物評伝』の政治家パート/科学者パート

1933年のケインズ。 急に忙しくなったので、余計なことに手を出し始めて、ケインズ『人物評伝』の訳をこの連休に始めた。政治家、経済学者、科学者のパートがある中で、政治家の部分が終わったので、まあご覧あれ。 ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝…

ピケティ『21世紀の資本』: r>g は格差の必要 or 十分条件か?

21世紀の資本作者:トマ・ピケティ発売日: 2015/04/27メディア: Kindle版 新年仕事始め前の小ネタ。ツイッターでこんなのみかけたのよ。 このツイ主は、浅田論文を読んでおくことでどういう知見を得るべきなのか、ここで採りあげているネット番組の問題提起に…

クレクレくんの要求と自分の実験を兼ねて、正月にいくつか電子ブック化

あけおめ(死語)。 各種の翻訳の公開がpdfなのが気にくわねえとかいうケチがついて、なんでも若者はepub形式だそうで、pdfなんざ加齢臭で読んでいただけないそうですよ。悪うございましたね。epubは昔、少し検討したんだけれど、確か日本語だと注かルビが処…

まあXmasプレゼントみたいなもので、ケインズ「芸術と国家」(1938) 翻訳。

今年はろくな年ではなかったし、来年もどうなるやらという感じだが、まあそれでも欲しいやつにはクリスマスプレゼントみたいなものでもあげようか。耶蘇じゃないけど。都市景観保全系の論集にケインズが寄稿していたのを見つけたもので。 全集のどれかの巻に…

フロイト『夢判断』:フロイトの過大評価をはっきりわからせてくれる見事な新訳

新訳 夢判断 (新潮モダン・クラシックス)作者:フロイト発売日: 2019/10/04メディア: Kindle版 古典をきちんと読まなければ、みたいな強迫観念は、昔は強かったけれど、いまはあまり残っていない。が、フロイトは高校時代に岸田秀に入れ込んだこともあり、ま…

ケインズ『平和の経済的帰結』:アメリカ版とイギリス版

しばらく前に、ケインズ『平和の経済的帰結』(1920) とその続編 (1922) を翻訳した。 cruel.hatenablog.com cruel.hatenablog.com で、後者をやっていたときに、実はこの二冊とも、イギリス版とアメリカ版が微妙にちがっていることに気がついた。イギリス版…

スターリン閣下はお怒りのようです:インタビューの読み方説明

付記:なんか多くの人が、これを2020年10月の学術会議がらみの一件に対する批評的な意図を持ったものだと読んでいるようなんだが、ぼくは実はまるでそんなことを考えていたわけではないのだよ。ホント、たまたま出てきただけなのよ。が、もちろんそういう解…

偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。

最近さまざまなメディアにおける人民諸君の発言を見るにつけ、であるな、多くの者が堕落し、あるべき革命精神を忘れ、軽視し、捨て去っているように見えるのだよ。特にへっぽこリベラルえせ知識人どもよ。そうした反革命分子どもにも、更正の機会を与えてや…

ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』アンチョコ

はじめに 数日前に、サイモン『人間活動における理性』の海賊訳を公開したら結構みんな喜んでくれて幸甚。 cruel.hatenablog.com が、これを実際に読んでくれた人でも、結構苦労しているらしい。 note.com でてくる用語として、馴染みのないものが結構ある、…

ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。

はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。 cruel.hatenablog.com で、終わった。まあ読みなさい。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) pdf版 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(…

ケインズ『平和条約改定: 続「平和の経済的帰結 (1922)」』仕掛かり:結局やっちまった

しばらく前に、ケインズ『平和の経済的帰結』を全訳した。 cruel.hatenablog.com もちろんご存じと思うけれど、これは第一次世界大戦後に、イギリス外交団の一員としてヴェルサイユ会議に参加したケインズが、あらゆるものをドイツからはぎとって、しかもそ…

タイボII 『エルネスト・チェ・ゲバラ伝』:細かいだけで変な脚色だらけ

もうゲバラ系はそろそろやめようかと思ったが、でかいのが残っていたので片づけよう。パコ・イグナシオ・タイボII『エルネスト・チェ・ゲバラ伝』。先日書評したアンダーソン版と同時に出た、でっかい伝記となる。 エルネスト・チェ・ゲバラ伝〈上巻〉作者:…

その他ゲバラ伝・関連本(の主なもの)まとめて紹介

はじめに はいはい、もうでかい伝記は片付いたみたいなので、あとはもう落ち穂拾いで関連書を一気に処理します。いっぱい出てくるけれど、伝記は分厚いのを読む気がないのであれば、マンガ版ゲバラ伝を読むのが必要十分。 マンガ偉人伝 チェ・ゲバラ (光文社…

D. James "Che Guevara: A Biography": 最初期で最も明解な視点を持つ伝記

Executive Summary D. James "Che Guevara: A Biography" は、1969年、ゲバラの死の直後に出た伝記。本書の最大の特徴は、明確な視点と答えるべき疑問を持ち、それをきちんとときほぐしていること。ゲバラの無謀なボリビア作戦の謎を中心に、ゲバラにまつわ…

マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』:3ページで書ける仮説を引きのばした鈍重な文芸評論

Executive Summary マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』は、文字、なかでも表音文字の発明が、意味と表現との分裂を招き、それにより人間の意識をも分裂させた、と唱える。それまでは聴覚=全身性の感覚で環境に没入し、環境と一体化していた部族社会的…

『ゲバラ日記』=ボリビア日記 全種類比較

Executive Summary チェ・ゲバラのボリビア時代の日記、通称『ゲバラ日記』は、邦訳が8種類もある。特に原著の直後1968年に出た5冊は、真木訳を除いて翻訳権がどうなっているのかまったく不明。いちばんありそうなのは、キューバ政府内でもそもそも権利の帰…

Tooze『CRASHED』: アメリカ一極が終わって……次がない……

Crashed: How a Decade of Financial Crises Changed the World (English Edition)作者:Tooze, Adam発売日: 2018/08/07メディア: Kindle版 うーん。 まずは歴史認識の簡単なおさらい。世界が第一次世界大戦前は、金本位制をもとにしたヨーロッパ覇権みたいな…

ハーバート・サイモン『意思決定と合理性』の翻訳がひどすぎなので、訳し直してあげました。

ハーバート・A・サイモンって個人的にとても好きなんだけれど、こないだふと『意思決定と合理性』という短そうな本を手にとったら、いやあ、唖然としてその後ワナワナするくらい翻訳ひでえわ。 意思決定と合理性 (ちくま学芸文庫)作者:ハーバート・A. サイ…

Qubes OS 4.0 をLenovo Thinkpad X230 Tablet に入れてみると

Qubes 4.01 を Lenovo X250 にインストールして、少しずつ環境を作るとまあ使えるようになってきました。特にフォントがきれいになると、結構いい感じ。 そこへたまたま、ヤフオクでジャンクの Lenovo X230 TABLETを落札してしまいました。タッチスクリーン…

Qubes OS 4.0 on Lenovo Thinkpad X230 Tablet: Very Wierd

After installing Qubes 4.01 on Lenovo X250, things were pretty comfortable. After installing some decent fonts, things were becoming really useful. And then, I happened to get my hands on a junk Lenovo X230 TABLET. This thing has a touch s…

Qubes OS 4.0 を Lenovo Thinkpad X250 にインストールしてみた

(See the English version here) Qubes4.0 on Lenovo X250 Qubes OSを、Lenovo Thinkpad X250にインストールしてみたので、ご報告。 2019年7月、ちょうどエドワード・スノーデンの自伝を訳し終えた。 prtimes.jp もちろんこういうのを読むとパラノイアになる…

Qubes OS 4.0 Installation for Lenovo Thinkpad X250

Qubes4.0 on Lenovo X250 This is a pseudo-novice guide for installing Qubes OS on an Lenovo X250. July 2019, I just finished translating the Autobiography of Edward Snowden into Japanese. Of course, this makes you paranoid. You start to sus…

ロシア未来派とコスミズム

モスクワのレーニン廟には、レーニンのミイラというか防腐死体があるのはもちろん有名な話だ。通常、それはソ連(およびその他)の社会主義が個人崇拝に堕した明白な印として嘲笑されることが多い(ベトナムのホーチミン廟と同じで)。そして、それ自体はま…