お勉強
Executive Summary 8/23あたりに起きた、ワグネルグループのプリゴジン粛清不慮の死をめぐるプーチンコメント。思わせぶりな部分もあるが、現時点では単なる事実確認。ただ雰囲気としては、ウクライナ/悪の西側による殺害、ということにしたい感じが漂ってい…
いま訳しているゲバラ本、詳細なだけあって、とにかくおもしろいエピソード満載ではある。その一つが、1959年ゲバラの来日および広島訪問のエピソードだ。 簡単に背景を。1959年1月、世界の驚きをよそにキューバ革命が成功してハバナは制圧されてしまい、新…
先日、エドワード・サイードの『オリエンタリズム』の1995年あとがきや、新装版への2003年序文を訳した。 訳しても読んだ人は、たぶんぼく自身以外はあまりいないと思う。長ったらしいし、テメーらみんな、度しがたい怠けものだから。が、読んだ人なら (そし…
Executive Summary 1999年大晦日、プーチンの大統領代行就任直前に発表された、ロシアの今後の政策についての概要文書。ソ連崩壊とその後改革による経済的な低迷と社会的な混乱を描き、自由と民主主義に基づきつつも、ロシア的な国家重視を維持した体制の強…
表題の通り、ケインズ『戦費調達の方法』(これまでの訳題は「戦費調達論」だが、だれがお金くれるわけでもなし、趣味でやってるんだから題名も趣味で決める) の翻訳。 以前、ケインズの『説得論集』をやった。 cruel.hatenablog.com ケインズ全集では、この…
『オリエンタリズム』25周年記念版版序文 (2003) エドワード・サイード 山形浩生訳 Orientalism (Penguin Modern Classics)作者:Said, Edward W.Penguin Books Ltd (UK)Amazon 9年前の1994年春、私は『オリエンタリズム』のあとがきを書いた。これは自分で言…
しばらく前に、モンティ・ホール問題がよくわかんねえ、というエントリを書いた。 cruel.hatenablog.com 黒木さんに言わせると、こんな初歩的な代物がそもそもわかんねえこと自体が情けねーよ、ということらしく、すみませんすみません。 #統計 どんなに素晴…
プーチンが、ウクライナ侵略の9ヶ月前に発表した論文、というかアジ文。ウクライナはロシアと一体、という文章のように題名だけ見ると思えるが、実際にはウクライナは常にロシアの庇護下にあったし、ロシアが守ってやらないとやってけないぜ、ついでにドンバ…
10月24日に、Change to Hopeというイベントがあって、スティーブン・ピンカーが来日して基調講演をする……予定だったのがコロナで来れずオンラインになってしまったんだが、ぼくがその司会役、というか質問係をおおせつかったのでした。 www.change-to-hope.c…
やりかけていたこれ、本編は全部終わったー。 cruel.hatenablog.com 本体はこれです。 https://genpaku.org/TimeontheCross/timeonthecross_j.pdf なんだかこないだから、Word--> pdfで目次のリンクが全部ずれる。またしおりもちゃんと作ってくれなくなった…
2022年ノーベル経済学賞は、バーナンキ、ダイアモンド、ダイブヴィグ (ディブヴィグ? 字面でしか見たことないので読みをよく知らない) に決定した。金融・銀行系ね。 そういえば、むかしの自分の予想でもバーナンキは入れていたなあ、と思って昔のエントリ…
ポランニーで、ダホメの輸出側の奴隷事情を見ました。 cruel.hatenablog.com それで奴隷に興味が出てフォーゲルの『十字架の時:アメリカ奴隷制の経済学』を読み始め、訳し始めてしまいました。まだ前半だけ。もちろん、フォーゲルはずいぶん長生きしたし、…
Executive Summary 教養というと、実学に関係ないステータス財なのか、それとも実学にも役立つべきベースなのか、みたいな議論が起こる。だがその区別がない場合もあるし、それが理想かもしれないという気もする。大学の上水道学の講義で、屈原の「漁父の辞…
Executive Summary ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』は、ダホメでは経済が社会に埋め込まれており、各種交換は社会関係の一環として行われる儀礼でしかない、権力関係の結果として行われるお歳暮やお中元みたいなもの、という描き方をする。だがその見方…
Executive Summary 木村汎『プーチン』三部作 (藤原書店、2015-2018) は、書きぶりはあまりにひどい無内容な水増しぶり。だがその中身はかなりきちんとしている。プーチンの自伝的エピソードのごまかしも述べ、また変な柔道談義で舞い上がることもなく、北方…
Executive Summary ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』の既存翻訳がダメときいて訳し直しました。 昨日のエントリで、ダホメ経済の話をしたけど、そのときに読んだ『経済と文明』こと『ダホメ王国と奴隷貿易』。 cruel.hatenablog.com 翻訳が半分まで終わっ…
Executive Summary ゴルバチョフ『ペレストロイカ』(講談社、1987) は、ソ連の体制の刷新と解体から、やがてはソ連そのものの消滅をもたらしたという、当時の世界構造の一大変革につながった図書として、いつか読もうと思いつつ果たせずにいた。いま、35年た…
Executive Summary 朝日新聞『プーチンの実像』(朝日新聞社、2015/2019) は、日本のぶら下がり取材的にプーチンが日本や自分たちと行った会見やその周辺人物のインタビューをあれこれ行っているが、明確な視点がないために、それが単なるゴシップのパパラッ…
訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアがウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多く…
Executive Summary 司馬遷『史記』に登場する焚書坑儒は、儒者どもが体制批判したせいだとされるが、実は穴に埋められた儒者たちにもそうされる十分な原因があったのかもしれない。かつて儒者を厚遇していた始皇帝だが、封禅の儀式のやりかたに結論を出せず…
Executive Summary 落合淳思『殷』は、落合の甲骨文研究に基づく、殷の社会についての分析で、非常にしっかりしていておもしろい。同時にその殷の研究自体が、直接資料である甲骨文を中心に研究しようとする立場と、後代の創作があまりに多い文献を重視する…
Executive Summary ピーター・ホール『都市と文明 II』は、産業イノベーション都市の理論のはずだが、まず冒頭にある産業イノベーションや都市立地の理論のまとめがあまりに雑でいい加減であり、したがってその後の各種都市の記述にとってのフレームワークを…
Executive Summary ピーター・ホール『都市と文明 I』は、都市がイノベーションの場だからえらいのだ、という結論ありきの本。第一巻では、高踏文化に見られる創造性がテーマとなっている。しかし冒頭にある創造性の理論のレビューがあまりにショボく、その…
1. キューバ再び:経済危機のさなか さて久々にキューバにきているのだけれど、キューバはいますごいことになっている。まず、アメリカの制裁がどんどん厳しくなり、各種の船はキューバに寄っただけで嫌がらせされ、キューバへのフライトもどんどん潰された…
Executive Summary ハーマン・カーン『紀元2000年』(1967) は、クルーグマンのエッセイでは全然予測が当たっていないボケ役に使われていたが、その文の中ですらかなりいい予想をしていると指摘されていて、予測が全然あたらないという文章の主題と全然マッチ…
ちょうどリドレー『人妻とイノベーション』を読んでいるところで、なかなかおもしろい。 人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する作者:マット・リドレー発売日: 2021/03/05メディア: 単行本 これについては、またきちんと書く機会もあるだ…
先日、「資本主義の行き詰まりがあちこちで見られる中で新たな経済思想は〜」みたいな話をきかれて、ぼくはちょっと言葉に詰まった。というのも、資本主義がそんなに行き詰まっているとはぼくは思っていないから、なのだ。 それで、ちょっと以前読んで気にな…
ピケティの新著、翻訳鋭意進めております。その中で古い本がたくさん引用されてて、中にあったのが、コンドルセ。 人間精神進歩史 第1部 (岩波文庫 青 702-2)作者:コンドルセ発売日: 1951/03/05メディア: 文庫 引用ヶ所の邦訳ページを調べなくてはならないの…
いろいろ忙しくなってきたので、例によってケインズ『説得論集』の全訳をあげてしまいました。1931年の原著すべてプラスアルファになっております。 J.M.ケインズ『説得論集』pdf 1.3MB https://genpaku.org/keynes/essaysinpersuasion/JMKessaysinPersuasio…
先日、ケインズの「芸術と国家」という文章を訳した。 cruel.hatenablog.com そのとき、これがケインズ全集に入っているかどうかいちいち確かめたりしなかったんだが、別のことを調べていたら、出ているのがわかった。 社会・政治・文学論集 (ケインズ全集)…