2011-01-01から1年間の記事一覧

本じゃないけど、とても有益なアマゾンレビューアー

Amazonレビューのほとんどはカスなのはご承知の通り。でも各分野ごとにえらい人がいて、本当に有益なレビューをしてくれる。心理学や進化論などの分野では本当に定番レビューアーがいるけれど、貿易と経済学などの分野では、このChar_Liberte氏がとてもいい…

岸田秀『嘘だらけのヨーロッパ製世界史』:あきれた。こんなトンデモ妄想垂れ流し読んで目が穢れたぜ。

嘘だらけのヨーロッパ製世界史作者:岸田 秀新書館Amazon黒いアテナをネタに、岸田がどうしようもない歴史妄想を垂れ流すだけの、ホンッと情けない本。なんでも、アフリカではみんな黒人だったんだけど、その中に白人が生まれたので差別されちゃって、それで…

朝日新聞ってホントに北朝鮮&中国の手先かもしれないと思ってしまう記事。

朝日の一面見て、卒倒しそうになった。ジョンイルくんが死んで、なんと金正男礼賛??!! 「自由人」? 「世界をよく知り」? 正男が? 国を預かる気になれないのは、単に遊んでたいからだけでしょ。さらにジョンイルが「拉致問題でも『主犯』の疑いがぬぐ…

山本作兵衛『筑豊炭坑絵巻』:驚愕の記録。ユネスコもたまには立派。

筑豊炭坑絵巻 新装改訂版作者: 山本作兵衛出版社/メーカー: 海鳥社発売日: 2011/10/17メディア: 大型本購入: 12人 クリック: 905回この商品を含むブログ (4件) を見る朝日新聞向けの今年の三冊を選ぶので、見落とした本はないかと丸善をうろつくうちに発見。…

『IT時代の震災と核被害』:前半部分はとてもよい、後半のくだらない対談集で台無し。

IT時代の震災と核被害 (インプレス選書)作者: 東浩紀,飯田豊,西條剛央,酒井信,神保哲生,飯田哲也,武田徹,津田大介,広瀬弘忠,三上洋,宮台真司,村上圭子,池田清彦,円堂都司昭,荻上チキ,加藤典洋,萱野稔人出版社/メーカー: インプレスジャパン発売日: 2011/12/0…

ケインズ学会『危機の中でケインズから学ぶ』:まったくまとまりも意気込みも盛り上がりもない。

危機の中で〈ケインズ〉から学ぶ――資本主義とヴィジョンの再生を目指して作者: 浅田統一郎,小野善康,間宮陽介,伊東光晴,若田部昌澄,伊藤誠,塩野谷祐一,根岸隆,橋本努,山脇直司,吉川洋,野口旭,伊藤邦武,岩井克人,平井俊顕,ケインズ学会出版社/メーカー: 作品…

スペンス『マルチスピード化する世界の中で』:議論は定番で良書ながら通りいっぺんでかけあしすぎ、議論もごく常識的。

マルチスピード化する世界の中で――途上国の躍進とグローバル経済の大転換作者:マイケル・スペンス発売日: 2011/10/07メディア: 単行本シグナリング理論のマイケル・スペンスによるグローバル経済論。途上国の今後の発展をどう考えるべきか、何を重視するのか…

フランクリン『最終兵器の夢』:最終兵器的なネタがSFにたくさん出てきましたというだけ。

最終兵器の夢――「平和のための戦争」とアメリカSFの想像力作者: H.ブルース・フランクリン,上岡伸雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/26メディア: 単行本 クリック: 53回この商品を含むブログ (7件) を見る蒸気船の開発者として有名なフルトンが、…

ケインズ学会論集:こんな年寄りの昔話ばっかでいいのか?

危機の中で〈ケインズ〉から学ぶ――資本主義とヴィジョンの再生を目指して作者: 浅田統一郎,小野善康,間宮陽介,伊東光晴,若田部昌澄,伊藤誠,塩野谷祐一,根岸隆,橋本努,山脇直司,吉川洋,野口旭,伊藤邦武,岩井克人,平井俊顕,ケインズ学会出版社/メーカー: 作品…

Debbie Nathan, Sybil Exposed: 原資料をもとに、多重人格シビルのウソを徹底的に暴いた本。でも批判的ながら同情的でフェアな視点のため、非常に感動的で悲しい本になっている。

Sybil Exposed: The Extraordinary Story Behind the Famous Multiple Personality Case作者: Debbie Nathan出版社/メーカー: Free Press発売日: 2011/10/18メディア: ハードカバー購入: 5人 クリック: 204回この商品を含むブログを見るむちゃくちゃおもしろ…

フランク「アンネの日記」:やはりモノにはそれに適した年齢があると思う。

アンネの日記 増補新訂版作者: アンネフランク,深町真理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2003/04/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 48回この商品を含むブログ (34件) を見る言わずと知れたアンネの日記。こないだアムステルダムに行ったとき、いつ…

シュライバー『失われた私』:インチキだと知って読むと、読むにたえないシロモノではある。

失われた私 (ハヤカワ文庫 NF (35))作者: フローラ・リータ・シュライバー,巻正平出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1978/09メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 110回この商品を含むブログ (6件) を見る有名な、16の人格が同居していたと称するシビルの治療…

森嶋通夫『ケインズの経済学』:読み始めたばっかりだが、引っかかるなあ。

森嶋通夫著作集〈10〉ケインズの経済学作者: 森嶋通夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/03/26メディア: 単行本 クリック: 23回この商品を含むブログを見るケインズ関係のお勉強で森嶋通夫だけれど、「無資源国の経済学」ってこれのことなのか! でも、…

後藤『決着! 恐竜絶滅論争』:ふーん、結局隕石ってことですか。

決着! 恐竜絶滅論争 (岩波科学ライブラリー)作者: 後藤和久出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/09メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 19人 クリック: 245回この商品を含むブログ (14件) を見る昔、金子隆一『大絶滅!』を読んで、隕石説は結構劣…

日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。

こんな文を観て、経団連についてのグチはわからんでもないながら、その後の提案にがっかり。 製造業の代替産業として、ちきりんが一番可能性があると思っているのは「ホスピタリティ産業」です。高いサービスレベル、正確なオペレーション、気持ちの良い対応…

自然エネルギーが安くなったら:温暖化で結集した環境運動崩壊への序曲

山形浩生 クルーグマンがこんな記事を書いている。要するに、太陽電池のコストがかなり下がってきて、石油や石炭と張り合えるようになってきた、という話。だからもう変な化石燃料発掘はしなくていいかもしれない、とのこと。さてぼくはこれに70パーセント賛…

幸福の遺伝子、または喜びの伝達物質

The genetics of happiness, transporter of delight, The Economist, 2011/10/15 人の個性は白紙であり、経験だけででそれが決まるという発想は、二十世紀後半のほとんどの期間で主流となっていた。だが過去二十年ほどで、その発想は否定されつつある。一卵…

加納喜光『常用漢字コアイメージ辞典』:古代人はこう考えてた、とか見てきたような書き方をしているが、ホントですかあ?

常用漢字コアイメージ辞典作者: 加納喜光出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/10/22メディア: 単行本 クリック: 43回この商品を含むブログ (1件) を見る漢字にはその根本的な意味があって、それが古代人の思考をそのまま反映させたものであり、それが…

吉沢『芸術は社会を変えるか?』:自発的な参加型芸術の意義を説きつつお上にお金を出してほしがる矛盾に自覚的でない弱い本。

芸術は社会を変えるか?: 文化生産の社会学からの接近 (青弓社ライブラリー)作者: 吉澤弥生出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2011/10/25メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 144回この商品を含むブログ (6件) を見るえらい先生のお作をみんながありがたく鑑…

ジョブス(下):最近の話ばかりで、どれも知ってます。

スティーブ・ジョブズ II作者: ウォルター・アイザックソン,井口耕二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/02メディア: ハードカバー購入: 68人 クリック: 1,873回この商品を含むブログ (239件) を見るはい下巻。で、下巻はジョブズがアップルに戻ってく…

サロー他『飢える大陸アフリカ』:アフリカ農業の発展方策をまじめに考えた、ものすごくまともでよい本。

飢える大陸アフリカ―先進国の余剰がうみだす飢餓という名の人災作者: ロジャーサロー,スコットキルマン,Roger Thurow,Scott Kilman,岩永勝出版社/メーカー: 悠書館発売日: 2011/10メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 711回この商品を含むブログ (5件) を見…

ジョブス伝。うーん、ひたすらやなやつ、

スティーブ・ジョブズ I作者: ウォルター・アイザックソン,井口耕二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/10/25メディア: ハードカバー購入: 58人 クリック: 5,321回この商品を含むブログ (352件) を見るどうしようかなあ、これ。冒頭に、かれが養子だったこ…

ペインター『白人の歴史』:黒人は白人のねつ造である、という話だがあまり説得力なし。

白人の歴史作者: ネル・アーヴィンペインター,Nell Irvin Painter,越智道雄出版社/メーカー: 東洋書林発売日: 2011/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 36回この商品を含むブログ (5件) を見る白人がこれまでどんなふうに人種差別をしてきたか、黒人とか…

栗岩『モリで一突き』:楽しげですばらしい青春記。

モリでひと突き作者: 栗岩 薫出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2011/09/23メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 238回この商品を含むブログ (1件) を見る趣味でモリ突き式の魚取りにはまり、それが講じて魚の研究者になった著者の、モリ漁一代記(の発端…

リオタール『言説、形象』:で、結局なんなの? 無意味な本。

言説、形象(ディスクール、フィギュール) (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャン=フランソワ・リオタール,合田正人,三浦直希出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2011/09/21メディア: 単行本 クリック: 112回この商品を含むブログ (10件) を見るいやあ、…

今福『薄墨色の文法』:思わせぶりな修辞の本。

薄墨色の文法――物質言語の修辞学作者: 今福龍太出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/10/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 47回この商品を含むブログ (4件) を見る今福の文はすべてそうだけれど、オリエンタリズム的なエキゾチズムを、青少年を堕落…

西部邁『ケインズ』:安易な人物像や哲学談義に流れ、経済学者としての評価から逃げた本

ケインズ作者: 西部邁出版社/メーカー: イプシロン出版企画発売日: 2005/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 69回この商品を含むブログ (12件) を見るケインズ (1983年) (20世紀思想家文庫〈7〉)作者: 西部邁出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1983/04メ…

わけもわからず:ナサーの経済学史は、「学」のないただの経済学者評伝である

Grand Pursuit: The Story of Economic Genius作者:Nasar, Sylvia発売日: 2011/09/13メディア: ハードカバーWorking in the Dark (The New Republic, 2011.09.30) ロバート・ソローによるシルヴィア・ナサー「The Grand Pursuit (大いなる探求)」書評、翻訳 …

金本位制廃止を喜ぶケインズ@Youtube

発言内容 過去10年においては、実にしばしば、私は悪い未来を予言しなくてはなりませんでした。しかし今日、私たちから大きな重荷が取り除かれました。大きな緊張が緩和されたのです。為替レートが下がりすぎる危険はありません。生活の費用が深刻に上昇する…

ケインズを語るクルーグマン@Youtube

Paul Krugman - Keynes' General Theory of Employment, Interes プリンストン大学のポール・クルーグマンです。ケインズについて、いやケインズの序文を書くというので、ぼくは文字通り欣喜雀躍でした。ぼく自身もケインズが現代世界にもたらしたようなもの…