2011-01-01から1年間の記事一覧

松岡正剛のケインズ評はかなーりデタラメ度お高め。

他の人が何かおもしろいことを言っているかと思って、ウェブでケインズ関係の記述をあれこれ見ているけれど、ろくなものがなくてがっかり。むろんウェブ上でのケインズ関連の発言は、聞きかじりの人がだれかの請け売りやイメージだけで恥知らずなこと言って…

ケインズ『一般理論』html化 with Pandoc

コメントで教えていただいた Pandoc を使って、『一般理論』をhtml化してみた。 ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』山形浩生訳(全訳)html版 正直いって、ウェブで読むやつはいないだろうけど…… (付記:その後題名変えた。日本語と英語は、andにあたる…

『一般理論』ドイツ語版序文、ひどすぎ。

ちゃちゃっとドイツ語版序文を訳してみたが(全訳pdf巻末の「おまけ」に入っている。また html版はこちら。)……ケインズの悪意全開。ケインズらしい真綿にくるんだ回りくどい表現ながらここで言ってること: ドイツは過去一世紀、まともな経済理論が全然なか…

コーエン『大停滞』:し、しまった、これが出るなら……

大停滞作者: タイラー・コーエン,若田部昌澄,池村千秋出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/09/22メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 670回この商品を含むブログ (43件) を見る 厳密にはボツ本ではない。書評ルールで、一年以内だかなんだかに…

I need a better latex2html.

現在、ケインズ『一般理論』がLaTeXでこのようにあるわけだ。さて、これをすぱっと html にしたい。latex2html は、無用に複雑な気がする。あとオリジナルと変な日本語パッチが並立する、unix 業界のあの変な風習がわかりにくくて、何がどう最新なのか不明す…

ケインズ「一般理論」山形浩生訳 全訳完成

全訳完成。9/1に始めて、途中一週間休みがはいったけど、20日でゼロから仕上げた計算。もうちょっと集中できたら二週間くらいでできたかな。ぼくは翻訳は一発通しで、読み直すことさえあまりしないから、用語の不統一や誤変換はそこそこあるかと思う。でも大…

IS-LMの発端:ヒックス「ケインズ氏と『古典派』たち」

ベネチアの運河のほとりで、趣味の翻訳の続き。これぞIS-LMモデルの出発点。J. R. ヒックス『ケインズ氏と「古典派」たち』 ほとんどの人はヒックスの原論文を読んだことがないはずなので。しかしこれでわかること。 ヒックスもちょー性格わりぃ。特に冒頭部…

他の人の間宮訳『一般理論』批判について

山岡洋一による『一般理論』間宮訳批判の批判をまちがって消してしまい、書き直すのも面倒なので放ってあったけれど、いま書き直そうかと思ってかれの批判を読み返してみると、やっぱり間宮訳のほうが誤訳で、山岡のほうが正しいと思う。六章の翻訳をすると…

青木&片山『サクサクわかる世界経済の仕組み』:これでわかるとは思えないなあ。

サクサクわかる世界経済の仕組み (メディアファクトリー新書)作者: 青木裕司,片山まさゆき出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2011/08/29メディア: 新書 クリック: 66回この商品を含むブログ (2件) を見る世界史の経済的な話題をなぞる形で世界経…

バーナード他『人文学と電子編集』:xmlのフォーマットから文化的な問題や著作権やいろいろ問題あります、という話。

人文学と電子編集―デジタル・アーカイヴの理論と実践作者: ルー・バーナード,キャサリン・オブライエン・オキーフ,ジョン・アンスワース,明星聖子,神崎正英出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2011/08/30メディア: 単行本 クリック: 44回この商品を…

上垣外『ハイブリッド日本』:日本人は昔からあれこれ混血を進めてきました、という本。

ハイブリッド日本 文化・言語・DNAから探る日本人の複合起源 (東アジア叢書)作者: 上垣外憲一出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2011/08/26メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 206回この商品を含むブログ (1件) を見る文化、言語、DNAを…

家森『世界一長寿な都市はどこにある?』:西洋化して高カロリー高脂肪食になると健康に悪いよ、という話。

世界一長寿な都市はどこにある?――食・健康・ライフスタイル作者: 家森幸男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/08/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 42回この商品を含むブログ (1件) を見る いろんな都市を調べると、西洋化して高…

有栖川&安井『密室入門』

密室入門 (メディアファクトリー新書)作者: 有栖川有栖,安井俊夫出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2011/08/29メディア: 新書購入: 10人 クリック: 152回この商品を含むブログ (5件) を見る楽しいね。砂漠で溺死本でも書いたけれど、小学校時代…

ケインズ「一般理論」間宮陽介訳(岩波文庫):まだ続きます。ほんっと、だれか指摘してあげなかったの??

雇用、利子および貨幣の一般理論〈下〉 (岩波文庫)作者: ケインズ,John Maynard keynes,間宮陽介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/03/14メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 71回この商品を含むブログ (33件) を見る前回の続きです。もう自分で訳するあ…

吉川洋「ケインズ」(ちくま新書):伝記とケインズの理論や貢献、その後のケインズ経済学をバランスよく描いている

ケインズ―時代と経済学 (ちくま新書)作者:吉川 洋筑摩書房Amazon吉川洋のケインズ。ケインズの伝記的な事実から入り、インド時代から戦後のなんたら、お金の理論を経て一般理論へ、さらにはその後のルーカス批判等々を経て云々。非常に手堅い流れだし、読ん…

ケインズ「一般理論」間宮陽介訳(岩波文庫):古い、英語知らない、原文勝手に改ざん。

雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫)作者: ケインズ,間宮陽介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/01/16メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 296回この商品を含むブログ (54件) を見る見るまでもないと思っていたが、行きがけの駄賃。目を通…

ケインズ「一般理論」山形浩生訳(部分):新しい、英語知ってる、原文に忠実。

ホント、みんなケインズの英語が名文すぎるとか実に難解だとかなんとかいうけど、ふつうだよ。当時の人の多くはああいう書き方したんだよ。マーシャルとか読んでごらんよ。みんな、自分の英語力がないのをごまかそうとして、わかりもしないのに美文だとか言…

土橋正「文具の流儀」:ユーザーとしての哲学がないためにただのウンチク本になっている。

文具の流儀: ロングセラーとなりえた哲学作者: 土橋正出版社/メーカー: 東京書籍発売日: 2011/08/20メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 84回この商品を含むブログ (7件) を見るロングセラーの文房具について、メーカーにヒアリングしてそ…

コックス&フォーショー「なぜE=mc2なのか?」:範囲が予想外に広くてわかりやすくていい本。

なぜE=mc^2なのか?作者: ブライアンコックス,ジェフフォーショー,柴田裕之出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2011/08/29メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 110回この商品を含むブログ (4件) を見る題名見て、アインシュタインの特殊相対論を詳…

宮崎義一・伊東光晴「ケインズ 一般理論(コンメンタール)」(日本評論社):ケインズを階級対立の先駆者として見ようという変な試み。

ケインズ一般理論作者: 宮崎義一,伊東光晴出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1974/07メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (2件) を見る宮崎義一と伊東光晴が、ケインズの一般理論を読みながら放談するというぬるい構成の本。それぞれの章…

ユング「赤の書」(創元社):げ、あいつらの翻訳!

赤の書 ―The“Red Book"作者: C・G・ユング,河合俊雄,ソヌ・シャムダサーニ,田中康裕,猪俣剛,高月玲子出版社/メーカー: 創元社発売日: 2010/06/26メディア: 大型本購入: 1人 クリック: 128回この商品を含むブログ (24件) を見るげ、こいつらの翻訳かよ。まと…

筒井泉「量子力学の反常識と素粒子の自由意志」(岩波科学ライブラリー):不意打ちの衝撃。とんでもない極論めいた話を、実に説得力ある形で紹介。

量子力学の反常識と素粒子の自由意志 (岩波科学ライブラリー)作者: 筒井泉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/04/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 39人 クリック: 1,089回この商品を含むブログ (12件) を見るおもしろい! たまたまいまグリーン…

小島寛之「容疑者ケインズ」(プレジデント社):深く失望。

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)作者: 小島寛之出版社/メーカー: プレジデント社発売日: 2008/08メディア: 単行本購入: 18人 クリック: 229回この商品を含むブログ (40件) を見る本書は、昔献本してもらったけどうっぱらってしまい、今回お勉強のために買…

山本義隆『福島の原発事故をめぐって』: 目新しい知見はなく、洞察も独自性はない感情論

福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと作者: 山本義隆出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2011/08/25メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 372回この商品を含むブログ (35件) を見る献本してもらった。昔、「磁力と重力」本の売り上げに貢献…

Peter Corning The Fair Society: 基本的な概念を誤解し論旨が破綻、結論もくだらない

The Fair Society: The Science of Human Nature and the Pursuit of Social Justice作者: Peter A. Corning出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr (Tx)発売日: 2011/04メディア: ハードカバー クリック: 43回この商品を含むブログ (2件) を見る Executive Su…

Peter Corning The Fair Society: Un-convincing Analysis based on Amateurish Misunderstanding of Basic concepts

The Fair Society: The Science of Human Nature and the Pursuit of Social Justice作者: Peter A. Corning出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr (Tx)発売日: 2011/04メディア: ハードカバー クリック: 43回この商品を含むブログ (2件) を見るThis is a VER…

ヴェルメシ「解き明かされた死海文書」:え、使徒襲来の話はどこ??

解き明かされた死海文書作者: ゲザ・ヴェルメシ,守屋彰夫出版社/メーカー: 青土社発売日: 2011/07/23メディア: 単行本 クリック: 35回この商品を含むブログ (2件) を見る死海文書の完全英訳版を完成させた人の書いた、死海文書の発見と解読発表をめぐるエピ…

宇沢弘文「ケインズ『一般理論』を読む」(岩波現代文庫)

ケインズ『一般理論』を読む (岩波現代文庫)作者: 宇沢弘文出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/08/19メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 53回この商品を含むブログ (13件) を見る『一般理論』の解説としてはまとも。でも、これ読んで『一般理論』がわか…

松木武彦「古墳とはなにか」:思っただけじゃ学問じゃないですから。

古墳とはなにか 認知考古学からみる古代 (角川選書)作者: 松木 武彦出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2011/07/25メディア: 単行本 クリック: 31回この商品を含むブログ (3件) を見る副題が「認知考古学からみる古代」。おお、認知考古学ってなんかすご…

小島・石田・細山「マンガケインズ」

マンガ ケインズ 大不況は解決できる!作者: 石田おさむ,細山敏之,小島寛之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/04/26メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 103回この商品を含むブログ (5件) を見るケインズのマンガ。理論的な説明はあまりなく、もっぱらケ…