2016-01-01から1年間の記事一覧

落ち穂拾いの感想文

いくつか読んだけど感想書いてないしどっかで採り上げる感じでもないものについて簡単に羅列。そういうものなので、あまり大プッシュ的なものはないけど…… 移民の経済学:だいたい予想通り 移民の経済学作者: ベンジャミンパウエル,Benjamin Powell,薮下史郎…

SexyCyborg様インタビュー(というか独演会)記録

2016年12月20日 1400-1630 Holly’s Coffee @ 深圳 新世界購買中心 聞き手:高須正和、山形浩生 はじめに SexyCyborg様を知らぬ者は幸いである。えー、彼女は中国のエレクトロニクス/ホビイスト系maker界隈では知らぬ者のない存在で、チョイエロ的な工作が十…

ピケティ『格差と再分配』読んだ!本文読んだぜコノヤロー!

格差と再分配:20世紀フランスの資本作者: トマ・ピケティ,Thomas Piketty,山本知子,山田美明,岩澤雅利,相川千尋出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/09/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る この本、出ると知って、でもだれが読むんだろ…

トマス・シェリングの思い出(なんてえらそうなものではないが)

トーマス・シェリングが死んでしまった……といっても100歳近かったのか。大往生ですねー。日本では名著『ミクロ動機とマクロ行動』の邦訳がついに出て、高齢の2016年経済学書ベストみたいなのに、入れるべきかどうかちょっと悩んでいるところ。 ミクロ動機と…

『ザ・ビーチ』初めて通して見たけど、恐れていたほど悪くないが、すごくよくもない……

ザ・ビーチ (字幕版)発売日: 2013/11/26メディア: Amazonビデオこの商品を含むブログを見る あちこちのバックパッカー宿にいくと一時は必ず一階のレストランバーで上映されていた映画の一つ『ザ・ビーチ』、断片的にはいろんな部分を見ていたけど、通して観…

ルイ14世のバレエ、そしてmental-floss 廃刊

ぼくは無精なんで、なかなか電子媒体になじめない面がある。会社では、経費削減のため今世紀に入ってから一貫してどんどん資料を処分させられていて、昔は本棚1本もらえていたのが、半減、さらに半減とどんどん減らされ、いまやロッカー一つ。その分資料電子…

『ロデリック』: これ……読んだことあるなあ。

柳下毅一郎の労作『ロデリック』@スラデックがしばらく前に出て、これはまあ義務として読まねばなるまいよ、と思っていて、やっと数日前にとりかかったところ。 ロデリック:(または若き機械の教育) (ストレンジ・フィクション)作者: ジョン・スラデック,柳…

ラスコー展とニコラス・ハンフリー

ぼくはニコラス・ハンフリーの『獲得と喪失』が非常に気に入っている。基本的なアイデアは、人間は何かを失うことで何か新しいものを獲得し、進歩してきたというもの。たとえば、人は文字や記録を発明するのと前後して、本を丸ごと記憶できるような記憶力を…

「国際経済学」サポートページ

クルーグマン国際経済学 理論と政策 〔原書第10版〕 ハードカバー版作者: Paul R. Krugman,Maurice Obstfeld,Marc J. Melitz,山形浩生,守岡桜出版社/メーカー: 丸善出版発売日: 2016/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 10月刊行予定の…

Obstfeld はやっぱオブストフェルド、だってさ。

一部の方はご存じだろうけれど、こんな本の翻訳を終わっていま怒濤のゲラ直し中なのだ。 クルーグマン国際経済学 理論と政策 〔原書第10版〕 ハードカバー版作者: Paul R. Krugman,Maurice Obstfeld,Marc J. Melitz,山形浩生,守岡桜出版社/メーカー: 丸善出…

Frankfurt, <i>On Truth</i>: やっぱウンコというのが入ってるのがまずいってことなんだろうか。

拙訳で邦訳された『ウンコな議論』の続編とも言うべき本が出ていて、諸般の事情でやっと最近読みました。で、アマゾンにレビューを書いたら……掲載できないって。何もまずいことは書いてないと思うんだけど、察するにレビューを判定するAIが、「ウンコ」に…

フエンテス『テラ・ノストラ』:英訳で読んだときと感想は同じ。力作だけど(それ故に)アナクロ。

http://honto.jp/netstore/search_10%E3%83%86%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9.html?srchf=1honto.jp なんと、カルロス・フエンテス『テラ・ノストラ』の日本語訳が出てしまった! 出る出る詐欺にはひっかかるまいと思って英訳版を…

サンフランシスコの住宅市場

サンフランシスコの住宅市場に関して、こんな記事を見かけた。 www.vox.com どうせ君たち読まないだろうから、何が書いてあるのか教えてあげると、サンフランシスコはいま、Uberが立地したりアレとかこれとかがきたり、ブルーボトルコーヒーが出てきたりで、…

The Economist に出た、最近のチョムスキー

え、チョムスキーってこんなことになってんの、というのが面白かったので、例によって勝手に翻訳して紹介。ぼくはおもしろいと思うんだけれど、昔朝日新聞にチョムスキー本の書評をのせたら、finalventがなにやら山形はまるっきりわかっていないと言いたげな…

え、ifconfig非推奨になったの……

久々に Linux いじってあちこち見てたらこのページ: yuuki.hatenablog.com え、ifconfig ってもう非推奨になったの??!! 知らなんだ。他にもあるのかな。なんか数年遠ざかっているうちにいろいろ変わってるみたいでキャッチアップが大変そうだ……

増田のジェイコブズ翻訳に関する記述が修正された件

2月20日に上げたエントリーで指摘した、増田悦差によるぼくのジェイコブズ翻訳に対するまちがった因縁記事が、修正された。該当する部分は削除され、その旨のコメントも最後についている。 素早い対応、感謝します。 一応、放置しようと思いつつも、このまま…

ねじ曲がったプライドの持ち主とは:鍋が釜をなんとやら。

なんか、うっかりこんなどうでもよいものを見て目を汚してしまったんだが……(しかも気がついてみると、これは新しい記事ですらなかった!が、内容的にはあまり時代に左右されるものではないので) business.nikkeibp.co.jp こんなもの読みたくないという人の…

学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話&日本の教育はゴミクズらしいぞ。

Science 読んでたら、経済成長と教育の関係についての論文が出てたのでちょっと紹介。 Knowledge capital, growth, and the East Asian miracle Eric A. Hanushek, Ludger Woessmann, Science 22 Jan 2016: Vol. 351, Issue 6271, pp. 344-345 DOI: 10.1126/…

増田悦差のジェイコブズ歪曲

(2/26付記:ここで問題にしている増田悦差のコラムは、その後本エントリーを見て修正された。したがって、現在では以下のリンク先の内容はここでの記述に対応していない。元の記述については魚拓を参照。) 増田悦差という論者が、何やら都市計画について書…

南たかし、いまいずこ(本当なら今は76歳のはずだが……)

最近、何度かアデランスのCMを見たのでふと思い出した話なんだけど…… その昔、小学校時代に、うちの学級でカツラが大ブームになったことがある。といっても、別に本物のカツラをみんながつけてきたとかいうことじゃなくて、その頃急に目につくようになった、…

メイソン『海賊のジレンマ』:勢いdrivenな本。その分賞味期限が短い印象。

海賊のジレンマ ──ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったか作者: マット・メイソン,玉川千絵子,鈴木沓子,鳴戸麻子,八田真行出版社/メーカー: フィルムアート社発売日: 2012/07/23メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 18回この商品を含むブ…

マクファーレン『イギリスと日本』:これまた産業革命の説明で、人口と疫病撃退のせいだというんだが……

イギリスと日本―マルサスの罠から近代への跳躍作者: アランマクファーレン,船曳建夫,工藤正子,北川文美,山下淑美出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2001/06/25メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (5件) を見る 産業革命はなぜ起きたか――ひい…

Schrage, "Innovator's Hypothesis": 小さなプロトタイプで何でも試そうってのはわかるんだけど、それだけだと……

The Innovator's Hypothesis: How Cheap Experiments Are Worth More than Good Ideas作者: Michael Schrage出版社/メーカー: The MIT Press発売日: 2014/09/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る うーん。いやね、ビジネスでもなんでも、なんか…