翻訳

ラヴジョイ『ベルクソンとロマン主義的進化主義』:またはベルクソンなんてインチキ宗教!

エラン・ヴィタール。ベルクソンもおすすめしてます! 一連の『存在の大いなる連鎖』翻訳を終えたけれど、ラヴジョイ関連のツイートを検索して見てたら、哲学教師が、「ベルクソンとラヴジョイは同じ方向を向いている」という世迷い言を述べているのがあった…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第9講:存在の連鎖の時間化 (これで全部終わり!)

はいはい、ちょっとだけ残すのもいやだったので、やってしまいましたよ。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』全訳 (pdf、3.3MB) これまでずっと続けてきたラヴジョイ、これで注も含めて全訳あげました。詩とか、長々しい引用とかはあまりに面倒なので訳してお…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第7講:18世紀楽天主義

ラヴジョイ、短い章なのですぐ終わってしまいました。 cruel.hatenablog.com ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』(山形浩生訳) 楽天主義というと、ヴォルテール『カンディード』に出てくるパングロス博士の、「物事はすべて現状通り以外の形ではありえなかった…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第5講:ライプニッツ&スピノザ

ラヴジョイ、ちょろちょろ続いております。 cruel.hatenablog.com で、第5章にやってきました。この章はライプニッツとスピノザという大物が登場するのでなんかすごい哲学的な大バトルが出て、存在の大いなる連鎖という思想そのものに関わる話になるんじゃな…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第6講:18世紀の人間の立ち位置

はい、ラヴジョイの続き。 cruel.hatenablog.com 今回は、18世紀に、存在の大いなる連鎖が流行って、それが人間の立ち位置についての考え方に影響し、格差社会の弁明まで出てきました、という話。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第6講:18世紀の人間の立…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第3講:中世の内部紛争

またラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の続きです。第3講。第2講で異世界性とこの世性/存在の連鎖の発端を説明し、4講でそれが天文学でいろいろ応用されたので、その二つの間の中世の話で、何かその天文学の前段にあたるひねりがあるかも、というのが期待だ…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第8講:18世紀生物学

はい、ひまつぶしにラヴジョイの続きですよ。前は天文学だったけれど、今回は生物学です。個人的にはオリバー君の話につながるのが楽しかったが、もうオリバー君なんて知らないよな、みんな。 cruel.hatenablog.com 今回の話はとても簡単。18世紀になって、…

ちXま学X文庫;山形浩生ダメだし改訳シリーズ

しかし、考えて見りゃラブジョイは40%くらいやったんだよな。そろそろ「ちXま学X文庫;山形浩生ダメだし改訳シリーズ」とかできそうだわな。 cruel.hatenablog.com cruel.hatenablog.com cruel.hatenablog.com 改訳じゃないけどソローのやつとかクルーグマ…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第4講:充満の原理と新しい宇宙観

はいはい、やめようかなと思っていたラヴジョイですが、第2講で舞台設定ができて、第11講でいきなり結論になってしまうのは、ちょっとつまらない。その途中でどんな具合で論が進むかをみるために、多少は土地勘のある (他の部分よりは:スピノザやライプニッ…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第2講:ギリシャ哲学と三つの原理

お待ちかね (だれも待ってないか) 『存在の大いなる連鎖』第2講の翻訳。 まずは、暇な人は訳をごらんあれ。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第2講:ギリシャ哲学における観念の創成:三つの原理 みんな読まないだろうからあらすじを。 前回の第1講は、そも…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の最終講:存在の連鎖は破綻した無意味な思想

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の翻訳を始めた話はした。 cruel.hatenablog.com 素直に第2講を初めて、半分くらいはおわっているんだけれど、そもそもこの話がどこへ行くのか知りたくて (はい、推理小説もまず最後を読むタイプです)、最後の第11講をあげ…

クルーグマン『経済発展と産業立地の理論』の改訳

数日前に、なぜだか知らないがアーサー・ラブジョイの本を訳し始めた話は書いた。 cruel.hatenablog.com で、それとまったく関係なしにやりはじめちゃったのが、このクルーグマンの本だ。 で、訳文がこれ。 クルーグマン『開発、地理、経済理論』(3章はまだ…

ラヴジョイは「冷笑系」:非ビリーバーの優位性

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』を勝手に翻訳している話をした。 cruel.hatenablog.com で、引き続きやっていて、第2講もいまのところ、なかなかおもしろい。まだ前半だけだけれど、言われていることはやはり単純だ。 頻出する観念として「異世界性」と「…

ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』

その昔、荒俣宏だったかで、ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』をほめていて、その後高山宏が、ニコルソンとかの紹介で観念史をいろいろもてはやしていた頃に、読もうかと思って邦訳を買って取りかかった。 存在の大いなる連鎖 (ちくま学芸文庫 ラ 10-1)作者:…

オーウェル「バーナム再考:現状追認知識人の権力崇拝とその弊害」(1946)

Executive Summary ジョージ・オーウェルが、第二次世界大戦中および大戦後に人気を博した通俗評論家バーナム『管理職革命』『マキャベリ主義者たち』を徹底的に批判した書評的エッセイ。バーナムは、マキャベリを引き合いに出して、政治は常にエリートのだ…

1984年縦書きepub版の暫定版

一部の人の要望に応えて、1984年の縦書きepub版を作って見たが、ルビがうまくいかない。ルビだけ表示されて、地の文字が出てこないというのは何なんだ。 まあないよりましでしょう。以下の目次の下にリンクしてあるので、見てみてください。 genpaku.org MS-…

オーウェル『1984年』全訳完成

Big Brother is Watching YOU!!! 2023年の年頭に宣言した通り、オーウェル『1984年』の全訳をあげました。 genpaku.org html版と、pdf版があるので、まあお好きに。当然、クリエイティブコモンズなので、自由にお使いください。個人的にはいま出版されている…

トマス・ピンチョン「『1984年』への道:オーウェル『1984年』序文」

Executive Summary トマス・ピンチョンによるオーウェル『1984年』への2003序文。本書が単なる反ソ反共小説ではない。オーウェル自身、立派な左派社会主義者ではあった。だが彼は、制度化された社会主義が己の権力にばかりこだわり、スターリニズムに目を閉…

オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性

Executive Summary トマス・ピンチョンのオーウェル『1984年』序文は、まったく構造化されず、思いつきを羅列しただけ。何の脈絡も論理の筋もない。しかもその思いつきもつまらないものばかり。唯一見るべきは、「補遺;ニュースピークの原理」が過去形で書…

プリゴジンくんの想い出を語るプーチン

Executive Summary 8/23あたりに起きた、ワグネルグループのプリゴジン粛清不慮の死をめぐるプーチンコメント。思わせぶりな部分もあるが、現時点では単なる事実確認。ただ雰囲気としては、ウクライナ/悪の西側による殺害、ということにしたい感じが漂ってい…

チェ・ゲバラ広島行きの謎、および三好徹『ゲバラ伝』

いま訳しているゲバラ本、詳細なだけあって、とにかくおもしろいエピソード満載ではある。その一つが、1959年ゲバラの来日および広島訪問のエピソードだ。 簡単に背景を。1959年1月、世界の驚きをよそにキューバ革命が成功してハバナは制圧されてしまい、新…

再びロシア国民に向けて:プリゴジンの乱の弁解 (6/26)

Executive Summary 2023年6月24日に起きた、傭兵団ワグネルグループによる反乱、通称プリゴジンの乱が治まった後の、プーチン大統領玉音放送。社会の団結のおかげで危機を切り抜けられた、これはロシアの分断を図る外部の連中の仕業、その首謀者はすべてわか…

2023年6月 アフリカ代表団とプーチン大統領との会合

Executive Summary 2023年6月、アフリカ連合を筆頭に、アフリカ大陸代表として7ヶ国で構成される代表団が、ウクライナとロシアを訪問。ウクライナ侵略により生じた食糧危機とエネルギー危機でアフリカが苦境に陥っているので、平和を目指す対話路線をプーチ…

リックライダー「人と計算機の共生」

翻訳中の本に、影響力の強い文として出てきたので、座興でやってみた。んー、いまだとそんなにすごい感じではないのと、ChatGPTとか出てきて、人間計算機共生のありかたそのものの、歴史的前提が崩れ始めている感じではある。とはいえ、60年以上前の話だから…

プーチン重要論説集

なんかこんなのを作ってしまったので、読みたい人は読みなさい。何かお気づきの点があればご教示たもれ……と思ったら商業出版の話が出たので、無料公開は停止。 なお、ウクライナ侵攻のときの演説が変だという検討については、第4期のまとめp.222- と、その対…

ルイスのサイード批判:「オリエンタリズムの問題」

先日、エドワード・サイードの『オリエンタリズム』の1995年あとがきや、新装版への2003年序文を訳した。 訳しても読んだ人は、たぶんぼく自身以外はあまりいないと思う。長ったらしいし、テメーらみんな、度しがたい怠けものだから。が、読んだ人なら (そし…

プーチン「新千年紀を迎えるロシア」(1999)

Executive Summary 1999年大晦日、プーチンの大統領代行就任直前に発表された、ロシアの今後の政策についての概要文書。ソ連崩壊とその後改革による経済的な低迷と社会的な混乱を描き、自由と民主主義に基づきつつも、ロシア的な国家重視を維持した体制の強…

プーチン「ミュンヘン安全保障政策会議での演説」(2007)

2007年のミュンヘン安全保障政策会議でウラジーミル・プーチンが、それまでの西側への順応的な態度をかなぐりすてて、アメリカをおおっぴらに罵倒し、もうおまえらの一極世界は終わりで、アメリカなんかもうオワコン、オレはもう好きにするぜ、と宣言した有…

ケインズ『繁栄の手段』(1933) やっちゃった。

ケインズ『戦費調達の方法』(1940) をやったついでに、全集でセット販売されてる『繁栄の手段』(1933) もやってしまったけど、全部書いてあるじゃん。これだけ読んで理解すればもう十分でしょう。「金融緩和だけで云々」「波及経路が」とか聞いた風な口きく…

ケインズ『戦費調達の方法』(1940) に取りかかった→終わった

表題の通り、ケインズ『戦費調達の方法』(これまでの訳題は「戦費調達論」だが、だれがお金くれるわけでもなし、趣味でやってるんだから題名も趣味で決める) の翻訳。 以前、ケインズの『説得論集』をやった。 cruel.hatenablog.com ケインズ全集では、この…