ベスター『Deceivers』(1981)

セネガルから帰ってきたら、SSDの奥底から昔のが出てきたんで、1章分だけやっちゃいました。

 

アルフレッド・ベスター『たばかりし者たち (The Deceivers)』(1981)

 

あの『コンピュータ・コネクション』と『ゴーレム100』の間の佳作となる。

 

 

英語圏の評判を見ると、ウィキペディアでもそうなんだが、この晩期の作品はどれもあまり評価されてなくて、ぐちゃぐちゃでわけわかんなくて、晩節を汚すものとして罵倒されている。

日本では、『ゴーレム100』はぼくが一生懸命誉めたおかげも多少はあるのか、みんな特に翻訳の超絶技巧に感心してくれてはいる。コンピュータ・コネクションは、野口幸夫が最もよかった時期の翻訳の1つだったと思うんだが、そんなに評判いいわけでもなさそう。ぼくはどっちもおもしろくて大好きなんだが……

 

この「Deceivers」はその間の作品で、作風もちょうどその中間くらいというところか。この冒頭の部分からも、すでに変な言葉遊びでわけわからなくなっているけれど、話はこの後、どんどんむちゃくちゃで支離滅裂になる。が、一応最後は収拾がついてしまうという。ベスターは『虎よ、虎よ』でも、だいたいそんなもんだと思うんだがねー。

 

翻訳はかなりやっつけで、この話者をどういう口調にすべきか、まだ固まっていない。が、こんな感じでよいのではと思う。題名も、これではなかなか伝わらないのでなんか独自の邦題をつけたほうがいいんだろうね。が、まあそこまで考えるのもめんどいので、こんな具合ですよという雰囲気だけでもつかんでください。

 

すでにどこかで翻訳が進んでて邪魔すんな、というのがあれば引っ込めますのでご一報を。