ラファティ『アーキペラゴ』の翻訳再開したが、その後出たいろんな作品との関係はもとより、その作品自体があまりピンとこない話をした。それで少ししまってあったラファティのブックレットなどをいろいろ見ていたときに出てきた、ラファティのインタビュー集。『アーキペラゴ』に始まる『悪魔は死んだ』3部作についての言及もあるし、それ自体としてもおもしろかったので、読みながら訳し終えてしまった。
もちろんきみたちは読んではいけません。ついでにその原文も挙げておくが、ぼくの備忘録だからきみたちは読むな。
読めないきみたちにはわからないことだが、これはもともと1990年あたりに、ラファティの本を平とじブックレット形式で出していたUnited Mythologies Press から出ていたもの。ときどき、いろんなラファティの解説でこの一部がつまみ食い的に紹介されていたのを見た記憶があるし、ひょっとしたらすでに邦訳があるかもしれない。が、それを探し出すのも手間だ。
インタビューは2編収録されている。やたらに詳しい親戚の来歴とか軍隊時代の話、宗教から創作手法その他いろいろ。ラファティにとって最大の敵が、世俗リベラリズムだというのが非常におもしろいところ。いろんな思想や世界の見方についての話は、本当に本気で言っているのか煙に巻こうとしているのかわからないのはいつものラファティ節。
で、『アーキペラゴ』が兵役時代の各地派兵の思い出も含むものだというのはよくわかるし、そこに描かれたものも少しは見えやすくなる……かな? あとあの唐突に終わるエンディングは、本人的には効果的な技法のつもりなんだなあ。ということでお楽しみあれ……じゃねえや、ゆめゆめ楽しんだりするなよ! 指くわえて見てるだけだぞ!
あと、一つ期待していたのは、ラファティの異様な女嫌いについて何かコメントが得られないかな、ということではあった。なんだっけ、「あそこは楽園だった。だって女が口をきかなかったから」の小説は。あれはまだギャグですむが、この「その曲しか吹けない」とかのむき出しの憎悪はただごとではない。だが、どちらのインタビューにもそれはなくて、まあ仕方ない。