Paul Krugman - Keynes' General Theory of Employment, Interes
プリンストン大学のポール・クルーグマンです。ケインズについて、いやケインズの序文を書くというので、ぼくは文字通り欣喜雀躍でした。ぼく自身もケインズが現代世界にもたらしたようなものを、ちょっとでももたらそうとしてはきたと思うんです*1。それは知的にも革新的で、世界をもっとよい方向に変えようとした経済学なんですが、でももちろん、だれもケインズのようにはなれないし、どんな本も『一般理論』のようにはなれません。これは西洋文明をほとんど崩壊させかけた問題を、(ためらい)解決した本です。それは一流の経済学者の道具を総動員しつつ、何が重要かについてのセンス、そして物事を考え抜く方法論の面で、真に過激になるのを恐れない意欲を組み合わせたものです。実に驚異的な本で、しかも驚くほど価値を失っていません。70年たった今もこれを読んで『あ、この問題ってあれか』と思うし、人々がケインズでまちがっていたと思ったことの一部は、いまや再びまったく筋の通った話となっています。だからこの本は、いちばん――たぶんぼくに言わせればアダム・スミスよりも――経済学の歴史上で最も重要な本だと思うんです。
*1:訳注:ここ、自分の書いた序文に限定した話と解釈もできるが、はっきりしない。