クレクレくんの要求と自分の実験を兼ねて、正月にいくつか電子ブック化

あけおめ(死語)。

 各種の翻訳の公開がpdfなのが気にくわねえとかいうケチがついて、なんでも若者はepub形式だそうで、pdfなんざ加齢臭で読んでいただけないそうですよ。悪うございましたね。epubは昔、少し検討したんだけれど、確か日本語だと注かルビが処理できないというので、これは使えないなあと思って放置したような記憶がある。が、進歩したとのことだし、久々に(正月早々)いくつか実験してみた。

 いちばん楽な道を、と思ってpdfからebookに変換してくれるソフトやサイトを試してみたけど、使い物にならないレベル。pdfの折り返しを全部文の終端扱いしてくれるし、ヘッダやフッタが全部途中に入り込む。

 次に latex ファイルをebook形式に変換できるはずのtext4ebookが、すでにtexliveのパッケージに入っていたので試してみたけれど、エラーが出て中断。細かく原因チェックしてもいいんだが、正月早々やるのは面倒過ぎ。luaで解釈するようにしたら少しはよくなったけれど、それでも何やらエラーが出るし、あとlualatex入れたときにおさらばしたはずのdviがまた登場するのが、いささか鼻についていやな感じ。たぶん、調べればいろいろ高度なこともできるんだろうけど。

github.com

 調べるうちに、なんだかここを見たら、epubにするならlatexなんか最初っから使うな的なことまで書いてあって、ちょっと落ち込んだ。

www2.slideshare.net

昔からこう、markdownですべて書いて、あとはもうあらゆる形式にバッチファイル一発で変換して公開というのにあこがれていたこともあったし、latex使い続けているのも、テキストに近くて他のフォーマットに変換しやすいかも、といった期待も多少あってのことだったし。それが無駄と言われるとねえ。epubにするならMSWordファイルからやれば、みたいな話が結構あって、そのほうが実際いろいろツールはあるみたいなんだが、これまた悔しい感じではある。html5ですべて解決、みたいなことにはならないんだろうか?

 ということで最後に、昔使った pandocにあまり期待せず戻ったんだが (なぜ期待しなかったんだっけ? html変換したときに手作業が必要だったからだっけな?)、やっぱこれがいちばんいいわ。あっけないくらいの簡単さ。

pandoc.org

完璧ではない。ケインズ『一般理論』は、脚注の中で数式組んだり表使ったり面倒なことをしているけれど、そういうのは苦悶してエラーを出すけれど、でもそれ以外はふつうにできる。表もまあまあ。さすがにセル内での折り返しみたいなことはできないけど。基本、以下の本はいずれも字ばっかりだし、図や変なレイアウト処理はまったくないので、そんなにソフトが迷う余地も少ないせいもあるんだろうとは思う。

ということで、以下にメジャーなものをepub化しておいておくので、せいぜい活用してくださいな。

アダム・スミス『国富論』(0-8章) epub版

ケインズ『一般理論』epub版

ケインズ『お金の改革論』epub版

ケインズ『平和条約改訂案』epub版

エンゲルス『イギリスにおける労働階級の状態』epub版

グチ的に言えば、ほぼすべてについてlatexのソースが同じディレクトリに入っていて、pdfの拡張子をtexに変えればダウンロードできるし、せっかくのクリエイティブコモンズライセンスなんだから、epub版があるといいなーと思ったら、自分で作ってどんどん作って公開すればいいのに、と思わないでもない。なんだってぼくに何でもやらせようとすんのよ。……って、言われてこうしてホイホイやっちゃうので、言えばやるだろうとなめられてるせいなのはわかってるんだけどさ。まあ仕方ないね。mobi にしろとかいうのは自分でやってよね。

何か不都合が見つかったら教えてくださいな。ちなみに、pandocくんはepsは扱えないのがわかったが、gif/jpgに変えたら問題なし。表をscaleboxで拡大縮小しているのもすっとばされている。あと、ルビが処理できていなくて、ルビがつかないどころかそのもとの文字も消えている。うーん。たぶんここにあるようなフィルタを書けばいいんだろうが…… これからの課題だな。

pandoc.org