スターリン=ウェルズ対談:当時の論争

以前、H・G・ウェルズによるスターリンのインタビューの翻訳を載せたら、それなりに好評を博した。

cruel.hatenablog.com

その後、ちょっとまた別の興味でケインズ全集を見ていたら、なんとこのインタビューへの言及があって、ケインズがこれにコメントをよせているという。なんか、あのインタビューをめぐって当時(というのは1934年)論争があったとのことで、それへの寄稿。全集の収録の文章だけでは文脈がよくわからなかったので、そのパンフを探して、忙しかったので全訳してしまいました。

f:id:wlj-Friday:20210209131908j:plain:w400

『スターリン=ウェルズ対談をめぐって』(pdf,1.6MB)

 

『スターリン=ウェルズ対談をめぐって』(epub,0.5MB)

バーナード・ショーがコメントをつけて、それについてウェルズとケインズ(とエルンスト・トラー)がさらにコメントする、という形式だけれど、何かまったく得られなかったすごい知見が得られるわけではない。議論の常として、特に話が深まるわけでもない。

ただ、バーナード・ショーというのが、どうしようもないバカだというのは実に如実にわかるのはすごい。最初、賢そうに聞こえるんだけれど、だんだん議論が進むうちに、彼が単なる教条主義者で、自分がマルクスを超えたすごい社会主義理論家だと確信しているうえ、ムッソリーニスターリンどっちも大支持という、まあ単なるアレですなー。ついでに、彼が反ワクチン主義者だというのもいろいろ見ているうちに知りました。現代なら、陰謀論にはまってツイッターでトランプ支持でコロナマスク反対してたことでしょう。

それとウェルズはもうちょっとがんばろうぜー。論破されたネラーみたいなみっともない真似してないでー。ぼくはSFファンだし、HGウェルズは本当に偉大だと思っているので、もっとキメてほしいぜ。

あと、ケインズがいまいちキレが悪いんだけれど、その中でさりげなく、すごいことを言っているのは注目ポイント。当時はただのはったりと思われただろうけれど、この二年後に出るのが……