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B.F.Skinner『Particulars of My Life/Making of a Behaviourist/A Matter of Concequences』:長すぎ。単調。それでもおもしろいのはさすが。

書評

Particulars of My Life

Particulars of My Life

行動心理学の親玉スキナーの自伝。三巻本。なげーよ、先生。しかも語り口がきわめて単調で、「あーした。こーした。あーいわれた。こー言われた。こんなことがあった。」という事実の羅列。まさに「思った」「感じた」などの内面を重視しない(少なくとも行動の原因とはしない)行動心理学の実践ですねー。

しかも三巻本だけあって、細かい。ガールフレンド遍歴を律儀に書く必要はなかったのでは……一巻目は、作家を志してニューヨークのグリニッジビレッジでうろうろしたりしつつも挫折して、そこで心理学を発見してハーバードに行こうとするまでの話で、すっごくつまらない。二巻目からは、俄然行動心理学たちあげの話になって、単調だけれどおもしろい。例のハト誘導ミサイルの話とか(実物の写真を初めて見たよ)、それをめぐる軍とのやりとりとか、悪名高いスキナーボックス(と誤称されている育児装置)の写真とか、実におもしろい。三巻目は少し社会的な話で、『ウォールデン2』の奇妙なリバイバルやら『自由と尊厳』の話に、生意気な娘に手を焼く話やらで、これまた結構いい。行動主義を発明はしたけれど、でも娘を行動主義では育てなかった、という変な詩とか。

しかしホント、もっと刈り込んで一巻にしてくださいよ。歳寄りの口述筆記みたい、と思ったらホントにこれを書いていた頃は目がダメになって、口述筆記だったんですね。邦訳はたぶんあり得ないとは思うけれど、すごく感動したり勉強になったりという本ではないし、あまり残念がる必要もないかと。



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