男の魅力とは??

Abs-olutely fabulous (The Economist 2013/4/13号 p.76-77)

女だって異性への期待は、男と同じくらい非現実的なのだ。

男たちは昔から、女の求めているのはずばり何なのか悩んできた。中には「割れた腹筋」を約束するメンズ健康雑誌に導きを求める者たちもいる。もっと科学志向の強い連中は、実験データを見る。最新の証拠は、オーストラリア国立大学(当時)のブライアン・マウツ率いる研究者たちのものだ。かれらはオーストラリアの異性愛女性105人を集め、以下の三つの身体特徴を変えた男のデジタル生成写真を見せた:身長、肩幅とウェスト幅の比率、しびたチンコのサイズ。そして、性的パートナーとしてその男性をどう評価するか採点させた。

「国立科学アカデミー論集」で刊行されたばかりの記事で、マウツ博士らはその結果を記述している。自信なき者たちにはうれしいことに、女性たちは確かに大きなチンコを魅力的には感じたももの、それが最大要因にはならなかった。最大の要因は、広い肩幅と細いウェストの組み合わせで、この要因だけで魅力変動の3/4が説明できる。また、身長も魅力の要因としてはあまり強くない。これは奇妙な結果だ。というのも他の研究を見ると、高身長は実に様々な便益、たとえば高給や長寿と結びついているからだ。大きいことはいいことだ、という効果はまた、収穫逓減にさらされている。それが身長だろうと肩幅だろうとチンコの大きさだろうと、追加の一センチはその前の一センチよりも効果が下がる。

それでも、研究者たちが生成したデジタル男たちの中でも最も背が高く、肩幅が広く、アレのでかい者ですら、完璧ではなかった。「最適値はどうも実験範囲を超えたところにあるようだ。(中略)最大魅力をもたらす値はどの性質についても、人口平均から2標準偏差以上離れたところにあった」。つまり、それぞれの性質について、女性たちが現実世界で出会う男性のうち、女性たちの期待するほどの立派なサイズを持つ者は2.5%以下しかいないということだ。三つの指標すべてで満点をもらえる男性は、めんどりの歯以上に珍しい。

この調査も完璧ではない。女性たちは、デジタル男が本物の男だと思うことはあり得なかった。他の要因――たとえば社会的地位など――は、現実世界では研究者たちが見ていた身体的な嗜好を上回るかもしれない。そしてあらゆる被験者が単一の国からきているので、これが生得的な嗜好か文化的な嗜好かは区別しにくい。たとえば、男性が見かけのスリムな女性を好むようになったのはかなり最近の(しかも西洋の)構築物だ、とよく指摘される。19世紀末のエロチカは、現代のポルノよりずっとふくよかな女性を映し出している。女性の嗜好だって、同じくらい育った文化に影響されているかもしれない。

一方で生物学の常識として、メス(どんな生物でも)はオスよりもずっと相手選びにうるさい。そうなる進化的な理由はちゃんとある。他の動物よりずっと子育ての負担が男女平等な人間ですら、子作りはオスよりメスのほうにずっとリソースの投資を要求する――そもそも9ヶ月も妊娠期間があり、さらにその後は赤ん坊に乳を飲ませるのは女性なのだ。だから女性は、自分たちのかなり限られた再生産リソースを、最も魅力ある男性だけに費やそうというインセンティブがずっと強い。そういう子のほうが、次の世代を生んでくれる可能性が高いからだ。というわけで男ども、腹筋がんばれ。

禁煙促進にはデブを魅力的にせよ!

Weight watchers (The Economist 2013/4/13号 p.69)


2002年にニューヨーク市マイケル・ブルームバーグは「完全に好きにさせてもらえるなら、タバコ税を思いっきりあげて、そこからの税収がゼロになるくらいにするんですがね」と述べた。この戦闘的な市長はその後、タバコ税を何度か上げた。効果は限定的だったので、市長は新しい手を考えている。タバコの割引と、店頭で目に見えるところに掲示するのを禁止しようというのだ。

こうした手段が承認されるか――そして効果を持つか――はまだわからない。でもブルームバーグ氏が禁止を強めるのは正しいかもしれない。パリ経済学校のアベル・ブロデュールによる新しい論文は、アメリカでの徹底した調査によるもので、喫煙禁止例は効果があるだけでなく、喫煙者の幸福度を増すと指摘している。レストランやバーでの喫煙を禁止することで(ニューヨークはすでにこれをやっている)、政府は意志の弱い人たちに、自分一人では実現できないこと――つまり禁煙――をやる口実を与えてくれるのだ。追加の便益として、喫煙禁止は喫煙者の妻や夫も幸せにしているようだ。

二本目の論文は、喫煙撃退手段としてタバコ税引き上げが効果を持つか疑問視している人々に武器を与えることになる。コーネル大のジョン・コーレーとヨーク大学のステファニー・フォン・ヒンケ・ケスラー・ショルダーは、若いアメリカ喫煙者たちが高いタバコ価格にどのくらい敏感かを調べた。結果は、ほとんど関係ない。これは若者の相当数――ティーン女子の46%、ティーン男子の30%――が喫煙するのは楽しみのためではなく、体重を減らすためだからだ。

これは健康ではないにしても合理的ではある。煙草は食欲を抑えて代謝率を上げるからだ。理由はどうあれ、体重を減らしたいという願いのおかげで、若者たちは煙草の値段が上がってもあまり行動を変えない。他のダイエット方法、たとえば食事を減らしたり運動したりというのは、あまり魅力的ではない。さらに、ティーンエージャーたちは煙草にそんなにあまりお金を使わない。ミネソタ大学の2003年研究では、ティーン喫煙者のうち直近のタバコを自分で買ったのはたった16%だった。

すでに違法な若者による喫煙は、喫煙禁止措置では止まらないだろう。運のいいことに、この研究は新しい取り組み方法も示唆している。喫煙者に、きみたちは太りすぎなんかじゃないよ、と納得させればいいのだ。BMI(人々の肥満度を測る方法の一つ)によれば、やせるために喫煙している多くの喫煙女子は、まったく正常な体重だったのだから(ただし男子はそうではなかった)。