仏教は宇宙をどう見たか―アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN選書)
- 作者: 佐々木閑
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2013/02
- メディア: 単行本
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仏教は色即是空で現実は存在せずすべては心の働きなんだという一般的な主張に対して、いやそうじゃないよ、もう少し理屈はあるよ、という話で、仏教の挙げてい世界像を説明したもの。
現代科学のアナロジーであれこれ説明しようとしていて、まあわかりやすいといえばわかりやすい。その一方で、仏教がカオス理論を先取りしていたとか、その手の話がときどき出てきて鼻白む (pp.131-134)。カプラ『タオ自然学』とかでもそうだけれど、この宗教で万物が生まれては消失するというのは素粒子の対消失を先取りしていたとか、その手の我田引水はやめてほしいんだよね。いろいろ作用はあって先のことはわからん、という業の理論が、細かいものの作用が効いて結果がわからんというカオス理論を言い当てていたというのは、ちょっとアレでは。
仏教の中の世界としてこんなのがありました、という紹介としてはおもしろい。一方で、それはなぜそんな考え方になったんですか、というと……結局、仏教の後世の体系化(お釈迦さんはもちろん、本書にあるような世界観を直接述べたことはない)の中で後からこじつけででっちあげられたもの、なのでこれを真に受けるべきか、これが本当に仏教としての教えなのか、その本質に関わるのかそれとも枝葉の重箱の隅論なのか、というあたり、いま一つわからない。
仏教は面倒で、宮崎哲弥のように輪廻は実は仏教の教えではないとか業の発想があれやこれやとか、結局何なのよというのがはっきりしない。自分なりの浅い理解で何を言えるかということさえ判断つきにくいし、それでこういうものを紹介するのも及び腰になってしまう。もう少し読みこむと、またいろいろ言えるかもしれないんだけれど、そういう投資をすべきかどうかもアレなもんで、パス。まあ他に読みたいと手を挙げた人もいなかったし……
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