本郷『カブトムシとクワガタの最新科学』:メジャーでとっくに研究し尽くされてると思ったら! 

カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)

カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)

今更ネタがあるのかと思って半信半疑で読み始めたら、これがおもしろい。カブトムシとクワガタなんて小学生のあこがれだし、すでに研究し尽くされているかと思ったら、まだまだなんだって。

特に本書の大きなテーマは、カブトとクワガタのケンカ! もう小学校時代の定番のネタだけれど、なかなか(テレビでは翌出るが)実際には目にできないもの。子供は、単にカブトやクワガタが弱ってるからだろうと思ってたんだけどさにあらず。遺伝的に、相手の体の大きさを見て勝ち目がない相手とは闘わないようになってるんだって。そして実際のケンカの場を見るのもむずかしいので、あまり研究されていない。

著者は、それをあの手この手で実地に検証して研究。エサを巡るケンカ、メスを巡るケンカ(後者はもちろん同種間だけだが)について、その技や展開などをことこまかに解説。しかも、後者ではメスとのいろんなかけひき(交尾してもしなくても、メスはエサ場から追い出されるなど)とかも実に楽しい。

カブトムシやクワガタの本を読んだのなんて、ホント小学生の頃にクワガタ図鑑とかを読んで以来だと思う。その頃の気分もよみがえってくる。そしてそれがまだまだわからないことだらけだそうで、みんな子供心を忘れずにどんどん取り組んでほしいなあ。こんな研究者を見つけて本を書かせたメディアファクトリーもえらい。

一つだけ、カブトムシは基本はケンカしないというけど、タイでものすごい賭博にもなっているカブトムシ対戦とかはどうやってるんだろうか? うまく闘わせるコツでもあるのか、あるいは種によるのか、著者に調べてほしいところ。



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