いま、『角川インターネット講座』なるものの第十巻の編者をやっている。すでにだんだん出始めていて、今日まつもとゆきひろ監修の第2巻『ネットを支えるオープンソース』が手元に届いた。
角川インターネット講座2 ネットを支えるオープンソース ソフトウェアの進化<角川インターネット講座> (角川学芸出版全集)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川学芸出版
- 発売日: 2014/11/25
- メディア: Kindle版
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うーん、今回まで出た巻を見ると、みんな非常にストイックに、現状までの説明になっているなあ。ぼくはむしろ、今後どうなるかとか、まだはっきりしてないが外挿して予想できることとか、もう少しいい加減なほうで原稿をお願いしていて、実際にすでにあがってきているのを見ると、かなり期待に沿ったものになっていて非常に嬉しい今日この頃。でもこれまでの巻を見ると、これでいいのかしらと若干不安になるのも事実。
これはもちろん、各巻のテーマにもつながってくるんだろう。インターネットの基礎についての巻(村井純の第一巻)や、今回のまつもとゆきひろの巻は、すでに十分な蓄積があるし、こうなっているという現状の話が重要だし、三木谷浩史によるネット通販を扱った巻も、かなり現状で発達してきているのが重要になっているから。ありもしない技術や希望的観測をちりばめても、うわっついた話になってしまうんだろうね。
一方で、ぼくがやっているインターネットによる産業の変化の話はまだ進行中で十分に発達していない部分もあるし、憶測が大量に入るのは仕方ないし、また読者もそっちを期待していると思うので……
どう見ても、伊藤穣一の最終巻(ネットで進化する人類)とか、おとなしく現状について説明するだけで終わるわけがないし、東浩紀の国家と法の巻とかも今後の見通しを書かないと話にならない。だからぼくの巻だけやたらに浮く、という事態は避けられるんじゃないかと思うんだが……(別に浮いたってかまわないんだけど)
一方で、タイトルを見ただけだと何が出てくるのかよくわからない巻(たとえば坂村健の「コンピュータがネットと出会ったら」とか出井伸之「進化するプラットフォーム」とか)、あるいはいくつかすみわけのはっきりしない巻(川上量生の、「ネットが生んだ文化」とはてな近藤「ネットコミュニティの設計と力」とはかなり重なりそうだけれど、川上がねとうよ非リア充みたいな2ちゃんねらー/ニコ動系のキモヲタ系にやたらに寄せたので、はてな近藤はもっとふつうのブログとか写真投稿とかLINEの話にするのかな。ここらへん、編集部で調整してるのかも)は、どうなりますやらできあがりが愉しみではある。