ハーバート・サイモン『意思決定と合理性』の翻訳がひどすぎなので、訳し直してあげました。

ハーバート・A・サイモンって個人的にとても好きなんだけれど、こないだふと『意思決定と合理性』という短そうな本を手にとったら、いやあ、唖然としてその後ワナワナするくらい翻訳ひでえわ。

このひどさについては、アマゾンのレビューでさんざん書かれている通り。ちゃんと自分で読んで意味がわかるように訳せよー。

あまりに腹がたったので、原書を買って冒頭部を自分で訳しはじめてしまったわ。

ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』

冒頭十ページほどだけど。アマゾンレビューで具体的に挙げられている問題箇所は含まれてる。細かい話ではあるけど、そんなわかりにくい言い方は何もしていないと思うんだけどなー。

タイトルは、理性じゃなくて合理性にしたほうがいいかな。やりながら考える。最後まで続くかはわからない。また例によって、山形の大量の仕掛かり翻訳の一つになるのかもしれないけど。でも、実は各種の仕掛かり翻訳、思い出したようにチビチビ先に進んでいたりすることもあるんだよー。

 

しかしこんなことやってる場合じゃないのになあ……

追記:その後コメントで、「システムの科学」はどうだ、との意見があった。あと、アマゾン評で「経営行動」の訳が、「下手クソ」と「いや、あの逐語訳がかえってすばらしい」というレビューバトルになっていて、これまた地雷のにおいプンプン。

というわけで、ざっと見てみた。

システムの科学

システムの科学

システムの科学は、ぼくはそんなに悪いとは思わない。もちろん、ぼくがやれば改善はできるだろうけれど、読んでわけがわからないとか、そういうレベルではないし、自分も普通に読んだ記憶がある。山形が敢えて訳し直すことは、たぶんないでしょー。

この経営行動は、ぼくはアマゾンレビューを見て、すさまじい代物を覚悟していたのだけれど……かなりまともだった。理屈っぽく面倒なのは事実だけれど、それは翻訳のせいじゃない。経営の話をするのにいちいち人間の合理性にまで立ち戻るような本は、晦渋で面倒なのは当然。そんなわけで、これはまあそういうものだと思って読んで下さいな。でも、まだ見始めたばかりだけれど、いい本だと思うよ。

追記:

で、きみたち、どうせ途中で止まってると思ってるんだろー。ジワジワ続いていて、第1章終わったよ。残りもがんばりまーす。(5/19)

 

どうせだれも見てないだろー。でもさらに進んで第2章終わった。あと1章!しかし、この第2章はすごいわー。進化論の話のおさらいで、利己的遺伝子から血縁淘汰に群淘汰を経て、局所最適と大域最適の問題までものの20ページほどで実に手際よくまとめて、知的な一般人が進化論について知っておくべき事はほぼ網羅。信じられん。 (9/17)

 

第2章完了記念に、邦訳の第2章もさっと見てみたが、いやーすごいわ。たぶん書かれていることを何一つ理解できていないのでは、という感じ。進化はローカルピークには登れるけれどグローバルピークに行けるとは限らないから、進化論的な合理性の発達には限界があるぞ、という話だけれど、ローカルは局地的、グローバルは地球全体になっていて、話の理屈がわかっているとは思えない。第3章も囚人のジレンマのところを見たが、自分で意味が理解できていたらこんな訳になるとは思えないんだが……

 

で、訳し終わりましたとさ。

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