ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。

はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。

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で、終わった。まあ読みなさい。

ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982)

読者のみんなは、ぼくに深く感謝するがよいのだ。これはそれだけの価値がある、すごい本だからだ。

この短い本に収められた叡智のすごさは、ちょっと比類がない。第1章は、彼の限定合理性理論のまとめであると同時に、自分でその限界をバシバシ指摘したおっかない部分。2章は、進化論について一般人の知るべき事を、とんでもなく高度な話まで含めて網羅している。第3章では、1982年の時点で地球温暖化の話にすでに目配りしてあるのに驚くし、また最後に出てくる各種経済学派のちがいは唯一、期待形成のあり方でしかないのだ、と断言するあたり、すごすぎ。そして政治プロセスでも、すでに各種「活動家」政治の危険性を指摘し、さらにポピュリズムの隆盛とそれに伴う政治の不安定性 (いまの政治の危うさは、みんなが政党を無視した意思決定をしたがるせいで生じている!) を指摘したあたりは、もう慧眼というしかない。メディア の話も、専門家の話も、すべてまったく問題なく今に通用する。一瞬出てくる人工知能への期待とか、たぶん執筆時点の1982年から一周か二周まわって、いまのほうがリアリティ高いかもしれん。

結論は、わからんことはわからんし、スーパー合理的な論理も世界運営も期待してはいけない、というあたりまえの話ではある。でも、それをどういうふうに導くか、というのがポイントでもある。SEU理論をきちんと詰め、その限界を見たうえでの発言は、やっぱ重い。

というわけで、きちんと読みなさいな。ぼくは訳してすごく勉強になったし、みなさんも少しはお裾分けされてほしい。

わかんないという人のために、アンチョコも作っておいてあげたぞ!

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