
- 作者: 高橋 洋児
- 出版社/メーカー: 言視舎
- 発売日: 2012/01/30
- メディア: 単行本
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暗黒卿のご親戚ですか、と一瞬思ってしまう名前ながら、マル経で博士をとってしまってつぶしが効かなくなったご年配な方の、愚痴論集。現代経済の問題は、市場規模に比べて生産力が過剰なことである、という。ジャン・バプティスト・セイ先生、高橋くんったらこんなこと言ってます! いけないと思います! とはいえまあ需要不足と見るか生産力が過剰と見るかは、相対的な話ではありますので、そういう言い方もできなくはないでしょう。
で、生産力過剰だという証拠は? 需要を増やせないという議論は? 特になし。著者がそう思うだけ。金融がアレでお金をすりすぎていて大量消費に無理があって云々。で、生産力が増えて価格が下がらないのはなぜ? 充足すると消費が選択的になって教育に向かうけど、教育は大企業が供給しないからどうのこうの、とかいうんだけど、なぜできないの? たいした説明なし。
で、それが散々続いた挙句に最後になると、インフラ輸出しろとか、過剰設備の削減で新たな供給力拡大とか(供給過剰が問題だったんじゃないんですか?)、挙句の果てにはいまの若いもんは小魚の骨を食わずにカルシウムが足りないからよくないとか、走って足腰を鍛えろとか、どーしようもなく卑小な話にどんどん収斂してきてジジイの愚痴に堕していく有様は、本当に哀れみを禁じえない。で、この人は昔とった杵柄というかなんとかで、毛沢東やスターリンがお好きで、勉強家だったとか中国の経済発展の基盤を作ったのは毛沢東の人民公社とか、なんかほめてみせようとして、いまの日本の総理ももっと勉強を、とお説教。やれやれ。ま、勉強してくれとは思いますけどね。こんな本、書評しません。

山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.