「プロトタイプ・ターミネーター」:なんじゃこりゃあ、と腹がたったが、でも総予算300万円なら仕方ないよねー。

チープなお馬鹿映画キャンペーンということで、ビデオ屋にあったのをうっかり借りてきたのが運のつき。なんじゃこりゃあ!!

フィルムじゃなくてビデオ、それもホームビデオ撮影。冒頭のビデオタイトラーによる題字が涙を誘う。そしてエンドロールを見ると、監督、撮影、脚本、音楽(そして脇役出演)全部同じ人で、編集とかその他いくつかはどうも奥さんらしく、冒頭のナレーションは娘みたい。ホームビデオ!

ちゃちな特撮、ペイントボール対戦用のマスク。セットは一つで、その外に出ては戻ってくるだけ。空気が薄くてマスクが必要という設定だけなのに、主人公は「慣れちゃったみたいだ」と称してマスクなしでオッケー。その他まったく意味のない設定まみれ、支離滅裂。脚本は、とにかく引き出しが一つしかない感じで、伏線といった概念がなく、その場その場で話が完結してしまい、流れとかまったくなし。非線形知性アンドロイドと称するツナギ着ただけのターミネーターねーちゃんとか(本家の女ターミネーターに影響されたらしく、やたらと小首をかしげる演技がうざい)とにかく、唖然とするくらいひどくて、大学生の自主製作ビデオでももっとマシだよ−!

と思っていたら、作者のページがvimeoにあって、総予算300万円! しかもちゃんと役者に給料出しているとのこと。すごい。それを知ると、なんか愛すべき作品にも思えてくるんだが、それでも金とって見せられる水準じゃねいぞー! 原題「Exile」。



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