横山『妖怪手品の時代』:手品でいろいろ妖怪を出す芸の系譜。楽しくてよい本です。

妖怪手品の時代

妖怪手品の時代

江戸時代には、くだらないのから手の込んだ物まで、妖怪をいろいろ出して見せるようなお座敷芸や手品がたくさんあった。単にお猪口をかぶるだけの、瞬間芸みたいなものから、幻灯や煙やらを使った本格的なもの、あるいはお座敷を離れて田んぼで河童に化けてみたりとか、多種多様なものがあった、という話。

そしてそれはその後、歌舞伎でも使われ、明治後も演劇に使われたり、手品ショーに使われたり、さらには映画になって、江戸川乱歩怪人二十面相も、そのトリックや演出の多くはこの妖怪手品の系譜に連なるものだという話。

芸のあまりのくだらなさにあきれたり、手の込んだトリックに驚いたり、読んでいて「へえ〜」と思うことしきり。江戸川乱歩は、後から考えると無理にこの系譜に位置づけなくてもよい気はするけれど、でもまったく的外れでもない。楽しく気楽に読んで、どうでもいいといえばいいけれど、楽しい雑学も学べるいい本だと思う。ちょっと今回は他の本がいくつか候補があるので入れる余地がないんだけど……



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